2月の「負債1,000万円未満の倒産」は32件 10カ月ぶりに前年同月を下回る
2024年2月「負債1,000万円未満」倒産状況
2024年2月の負債1,000万円未満の企業倒産は、32件(前年同月比27.2%減)で、10カ月ぶりに前年同月を下回った。2月としては、2021年(34件)以来、3年ぶりに30件台になった。 ただ、円安が続くなかで物価は高止まりしている。さらに、人材確保のための賃上げなど、各種のコストアップが企業収益に足かせとなり、小・零細企業の体力をジワリと奪っている。 負債1,000万円未満の倒産は、2月こそ30件台に減少したが、当面は一進一退を繰り返しながら増勢をたどるとみられる。 産業別は、最多が小売業(前年同月比66.6%増)とサービス業他(同58.3%減)の各10件(構成比31.2%)。次いで、 農・林・漁・鉱業と卸売業が各3件と続く。 原因別では販売不振が21件(前年同月比22.2%減)と6割超(構成比65.6%)を占め、資本金別は1千万円未満(個人企業他を含む)が29件(前年同月比30.9%減)と大半を占めた(構成比90.6%)。 形態別は、破産30件(同93.7%)、特別清算2件(前年同月ゼロ) で、すべて消滅型だった。 政府は、コロナ禍からの企業の経営再建に向け、さまざまな施策を打ち出している。しかし、負債1,000万円未満の倒産は小・零細企業が大半で、金融機関からの借入の多くは信用保証協会の保証付融資で、プロパー融資は少額にとどまり金融機関との接点は乏しい。このため、金融機関の支援の網から漏れるケースもある。 経済活動が活発化するなか、物価高やエネルギー価格の上昇、人手不足など経営課題は多く、負債1,000万円未満の倒産は増加トレンドにあるとみられる。 ※本調査は、2024年2月に全国で発生した企業倒産(法的、私的)のうち、企業倒産集計(負債1,000万円以上)に含まれない、負債1,000万円未満の倒産を集計、分析した。
2024年2月の倒産32件、10カ月ぶりに前年同月を下回る
2024年2月の負債1,000万円未満の倒産は、32件(前年同月比27.2%減)発生した。 コロナ禍での各種支援の縮小・終了とともに、2023年5月から2024年1月までに9カ月連続で前年同月を上回っていたが、2月は10カ月ぶりに前年同月を下回った。 ただ、コロナ禍で中小企業の資金繰りを大きく緩和したゼロゼロ融資の返済が本格化している。さらに、円安を背景に、原材料やエネルギーなど幅広い物価上昇に見舞われている。経済活動の再開で人手不足が深刻さを増すなか、賃上げムードが高まり人件費上昇も見込まれるなど、種々のコストアップが資金繰りに重くのしかかっている。 負債1,000万円未満は、小・零細企業が多く、資産背景がぜい弱で、新たな資金調達も厳しい。金融機関の支援も行き届かないこともあり、倒産は緩やかに増勢をたどるとみられる。