90年代ニュー・クィア・シネマの旗手、グレッグ・アラキの2本がデジタルリマスター版でリバイバル
異性愛を常識とするあり方に対抗して1990年代に〈ニュー・クィア・シネマ〉を牽引し、一貫してティーンエイジャーを描いてきたインディーズ界の鬼才グレッグ・アラキ。彼が当時放った衝撃作「ドゥーム・ジェネレーション」(1995)と「ノーウェア」(1997)が、デジタルリマスター版でリバイバルされる。前者は11月8日(金)より、後者は11月15日(金)より、渋谷ホワイトシネクイントほか全国で順次公開。
プロデューサーに「異性愛映画を撮ったら予算をあげよう」と提案されたアラキ監督が、反骨精神あふれるパンクなやり方で完成させた“史上最もクィアな異性愛映画”の「ドゥーム・ジェネレーション」。そして、ジェットコースターのようなスピード感で若者たちの《終末》の一夜を描き、監督自身が「3部作(※)の中で間違いなく最も野心的な作品」と評する「ノーウェア」。 (※「ドゥーム・ジェネレーション」「ノーウェア」に「トータリー・ファックト・アップ」(1994)を加えた3作は〈ティーン・アポカリプス・トリロジー〉と称される)
「ティーンエイジャーの映画を作るのが好きなんだ。彼らの“ホルモンが狂った生活”には、忘れられない高揚感がある。彼らは1日に10回生きては死ぬような興味深い題材であり、私がこの世界について感じていることを体現している」という監督は、自身の映画を「アウトサイダー、パンクス、クィア、社会やコミュニティに馴染めない人たちのためのもの」と位置づける。 「ドゥーム・ジェネレーション」がサンダンス映画祭でプレミア上映されてから約30年を経て、サンダンス協会がフィルムアーカイブコレクションに「ドゥーム・ジェネレーション」「ノーウェア」を選出し、支援したことで、今回のデジタルリマスターが実現した。2023年の同映画祭では「今回の映画祭で見た中で最も大胆で素晴らしい映画は28年前に作られたグレッグ・アラキの『ドゥーム・ジェネレーション』だった。この作品はX世代の不安や焦燥感を描いた暴力的でエロティックな衝撃作だ」(Indiewire誌)と称賛された。 初公開時はカットされたストレートな性表現も含めたディレクターズカットで、鮮やかかつ刺激的に甦る。