伊原六花「お姫さまになりたい」から「格好つけなくなりました」まで “壁”を超えてきたまっすぐなチカラ
■1ミリもわからなかった 「友達」は一緒に仕事をしたいと考えていた劇作家・演出家の加藤拓也による舞台だ。 稽古の休憩時間中、出演者たちは「あの劇団の新作は観た?」「あの劇場でやっていたあの演出家の作品、いいよね」といった話で盛り上がっていた。 「私はそれが1ミリもわからなくて、まったく会話に入ることができなかったんです」 “観劇オタク”だと自任していたつもりだった。実際、時間さえあれば舞台を観に行っていた。けれど、自分が持つ演出家や戯曲についての情報量が圧倒的に少ないと感じた。共演者はみな、経験豊かで、伊原が尊敬の眼差しを向けていた俳優だった。 ■知らないものを観に行ってみよう 「自分が『すてきだな』と思っている方々も貪欲に知識を求めにいっているのに、私はなにも知らないままでいた。それがすごく悔しくて。そこから、演劇を観るときの意識が変わって、より明確に『この演出家さんとやりたい』『この作品をやってみたい』と思うようになりました」 それまでは、大劇場で上演される作品しか知らなかったが、50席前後の小劇場や大衆演劇にも積極的に足を運ぶようになった。 「知らないものを観に行ってみよう、という意識はより強くなったと思います」 ■意外と分析型なのかな 豊かな表情と明るい声で、自分の言葉で表現する。「溌剌」「フレッシュ」というイメージを持つ人も多いだろう。自身は、自分の性格をどうとらえているのだろうか。 「毎回、新しい出会いがあって、みんなと同じ空間で一つのものを作り上げる、という感覚が私はすごく好きです。舞台が好きな理由の一つでもありますが、人と話して、違う価値観を知っていく、ということが好きなのかもしれません。誰かと話すうちに、自分の『好き』『嫌い』がはっきりしてきて、自分の性格もわかっていくような気がします。楽観的なところはありますが、意外と“分析型”なのかな。 『同じところに留まれない』という意味では、すごくこのお仕事は合っているのではないかと思います」 共演者や周囲からは、どんな人と言われることが多いのだろうか。