伊原六花「お姫さまになりたい」から「格好つけなくなりました」まで “壁”を超えてきたまっすぐなチカラ
昨年度の連続テレビ小説「ブギウギ」では、主人公・福来スズ子(趣里)の後輩ダンサーを演じ、一躍注目を集めた。伊原六花の原点は、どこにあるのか。 【写真11枚】はじける笑顔の伊原六花さん。夜景をバックに大人びた表情も * * * ■私もお姫さまになりたい 4歳からバレエを始めた。小学生の頃、初めて生でミュージカルを観た。 「友達に連れられて、シンデレラをオマージュした作品を観たとき、『お姫さまになれる空間があるの?』と、一瞬でときめきました。ただただ『やりたい』『私もお姫さまになりたい』と。それが舞台との最初の出会いでした」 とにかく、楽しかった。物語が好きだったからミュージカルの世界に引き込まれ、ひとくちにダンスといっても、ヒップホップ、ジャズ、ロッキン、さまざまなジャンルがあった。 「『うわあ、格好いい』という気持ちが途切れなかったんです。バレエ、歌、ダンス、自分の好きな先生のレッスンを取って、『もうワンクラス増やしていい?』と自分から頼んでいました。常に格好いいなと思う先輩がいて、『追いつきたい』という気持ちになれたことも大きかったと思います」 ■人生で一度あるかないか だが、プロになることは、「考えていなかった」。 ダンスの強豪校として知られる大阪府立登美丘高校ダンス部でキャプテンを務めた後、2017年の終わりから芸能活動をスタートした。スカウトを受けたのだ。 「そのときは舞踊科のある大学に行き、ダンスにずっとかかわっていけたらいいな、という漠然とした思いしかありませんでした。でも、両親に『こんなチャンス、人生で一度あるかないか。つらくてどうしようもなくなったら、帰ってくればいいから』と言われて、『できるところまでやってみよう』と思ったのが、飛び込むきっかけでした」 ■壁はありすぎて全部がつらかった 実際に仕事を始めて、ダンスができる場もあれば、芝居に取り組める場もあるのが“俳優”だと知った。「表現する」という意味では、自分がやりたいこと、やってきたことを生かせる場所だ、と強く感じた。 だが、悔しい思いは数えきれないほどしてきた。朗らかな口調ではっきりこう言った。 「“壁”は本当にありすぎて。“壁”自体は毎回あって、全部つらかったんですが、『感覚』が変わったなと思ったのは、『友達』という舞台のときでした」