日本人にとって昔からなじみ深い、雪だるまのアレ
二人の女の子が作っているのは大きな雪だるま。撮影者は100年以上前に本誌の記者や写真家として活躍したエライザ・R・シドモアだ。撮影地や年代は不明だが、シドモアは1884(明治17)年からたびたび日本に滞在していたことから、明治半ば以降の写真だと思われる。 フォトギャラリー:雪にたわむれる動物たち この雪だるまを見て興味を引かれたのは、つる(テンプル)付きの眼鏡をかけている点だ。眼鏡は16世紀に宣教師のフランシスコ・ザビエルが日本に伝えたともいわれているが、当時は耳にかけるつるは付いておらず、鼻に挟んでかける鼻眼鏡だった。江戸時代には、ひもで耳や後頭部に固定する眼鏡もあった。 18世紀前半になると、英国でつる付き眼鏡が登場する。日本では19世紀末(明治30年前後)の新聞広告に描かれた眼鏡につるが付いているから、遅くともその頃にはつる付き眼鏡が出回っていたようだ。 ガラス製だったレンズは今ではプラスチック製が主流になった。とはいえ、耳にかける眼鏡が日本人にとって昔からなじみ深いものだったことが、この写真からもよくわかる。 ※この記事はナショナル ジオグラフィック日本版2024年2月号に掲載されたものです。