HPVワクチンの「キャッチアップ接種」を 館山の医師が講演で呼び掛け(千葉県)
子宮頸(けい)がんなどを予防するヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種機会を逃した人に対する救済措置「キャッチアップ接種」について知ってもらおうと、亀田ファミリークリニック館山の高橋慎太郎医師(30)が18日、館山市の安房医療福祉専門学校で、看護学部の1年生に講義を行った。キャッチアップ接種は、初回を11月末までに受ければ、必要な3回を全て無料で受けられる。高橋医師は「できるだけ多くの人に打ってもらいたい。周りの人たちに伝えてほしい」と呼び掛けた。 HPVは、子宮頸がんをはじめ、肛門がん、膣(ちつ)がんなど多くの病気の発生に関わるといわれる。高橋医師によると、生涯で約8割の男女が感染するとされる。ワクチンは、小学校6年~高校1年相当の女性を対象に、定期接種が行われている。 HPVワクチンを巡っては、厚生労働省が2013年6月以降、積極的な接種の呼びかけを中止していたが、22年4月に有効性や安全性が確認できたとして、呼び掛けを再開。この期間中に接種を逃した女性に対し、「キャッチアップ接種」を実施している。 対象者は、1997年4月2日~2008年4月1日生まれで、24年度に17~27歳になる女性。25年3月までは無償で受けられる。自費だと10万円ほどかかる。 ワクチンは3回打つ必要がある。接種間隔を逆算すると、11月末までに初回を打つ必要がある。 講義は、接種対象者であり、医療従事者を志す学生に正しい知識とその伝え方を学んでもらうことが大きな目的。高橋医師は、国内の接種率は21年度時点で26%と低い一方、ワクチンには安全性を示す研究があることを示し、「ワクチンと検診で子宮頸がんは排除できる」などと強調した。 効果的に情報を伝える方法を考えるグループワークもあり、▽アニメコラボポスターで広報▽中学の入学式でパンフレットを配る▽保健体育の時間に授業参観の機会を設け、保護者世代と子ども世代に同時に伝える――など、学生らが知恵を出し合った。 池田菜々子さんは「私は高校生のときに受けたけど、打っていない同級生もいる。接種した方がいいと伝えていきたい」。坂梨碧月さんは「女性だけじゃなく、男性もHPVに感染すると初めて知った。学んだことを親とも話してみようと思う」と感想を話していた。 22日午後6時からは、館山市北条の学習塾「ランゲージ・ラボラトリー」に通う有志の中学生7人が、HPVワクチンについて地域の人に知ってもらおうと、南房総市の三芳中学校体育館で、講演会を行う。医学的な知識面を髙橋医師が監修した。広く来場を呼び掛けている。 (前木深音)