「さあ、16回目のCL優勝へ!」絶対的な勝者と信じ抜くからこそ…“レアル・マドリー”は皆の心に宿り続ける
永遠であり、不滅
ドルトムント戦は、マドリーのこの10年の集約を見たような思いだった。前半は間違いなくドルトムントのペースでゴールを決めるに値したが、決定力不足やクルトワの好守によって0-0のまま試合を折り返した(ここでバルセロナファンのルジェーは言っていた。「どれだけ押し込まれても、マドリーが負けるなんて期待するだけ無駄だ。結局、こいつらは勝つんだよ。むしろ1点取られてビハインドを負った方が、逆転して確実に勝てるんじゃないか?」と)。 迎えた後半は、開始直後に前半からナーバスな表情やプレーを見せていたベリンガムが足の痙攣を止めるような仕草を見せている。過去にモリエンテスが「CL決勝では緊張し過ぎて40分で足がつってしまった」と語っていたようなことが、これからフットボール界を背負うであろう20歳のMFの身にも起こったわけだが、すると、クロースとカルバハルが決勝でのゴールの決め方を伝授している(どれだけジャブを浴びようとも、冷静に相手を一撃でダウンさせるストレートを炸裂させればいい)。前者がいつものように正確無比なCKを蹴ると、173センチの後者がS・ラモスを彷彿させるようなへディングシュートでネットを揺らした。 先制後、今度は若手たちが自分たちに宿る“レアル・マドリー”を示している。前線でのボール奪取をきっかけに、ベリンガムのスルーパスからヴィニシウスがペナルティーエリア内左に入り込み、左足のシュートでGKコベルを破った。ドルトムントの選手たちは前半に迎えた数多の決定機を逸したときから、マドリーの脅威に染められた不安の表情を浮かべていたが、誰もが覚えていた予感はやはり的中した。マドリーはアトレティコ戦(×2)、ユヴェントス戦、リヴァプール戦(×2)に続いて、またも絶対的勝者であることを、そして、その精神性がベテランから若手に受け継がれていることを示したのである。このマドリーは永遠であり、不滅だ。