『光る君へ』中国で「科挙」が発展したのは宋の時代、宋人が「戦に飽き飽きしていた」ワケとは?
■ 疲弊する道長を支えた「四納言」の頼もしさ そんな時、京では左大臣の道長が、多忙な政務にやや疲弊していた。肉体的にはもちろんだが、精神的な重圧も大きかったらしい。 2番目の妻である源明子が「父が失脚しなければ、兄が左大臣になったやも知れぬと思ったことはございます。されど、この頃思います。兄には左大臣は務まるまい、と……」などと口にすると、道長はこんな弱音を吐いている。 「俺とて務まってはおらぬ。俺の決断が、国の決断かと思うと……」 そんなただでさえ大変な時に、宮中にやってきたのが、お騒がせ男である藤原伊周(これちか)である。太宰府に送られる途中で、母に会いたくて都に戻ってきてしまったらしい。 まだそんな往生際の悪いことを……とあきれながらも、道長から対応を任された町田啓太演じる藤原公任(きんとう)が見せた優しさには、心を打たれた。ちょうど命が尽きてしまい再会はできなかったが、伊周に情をかけて一目だけ母に会わせようとしたのだ。 公任に加えて、源俊賢(としかた)、藤原斉信(ただのぶ)、藤原行成(ゆきなり)ら4人は、のちに「四納言(しなごん)」と呼ばれることになる。難題の数々に苦悩する道長を、これからもバックアップしてくれると思うと頼もしい。それぞれ個性的なキャラクターなので、活躍が楽しみだ。 次回「雪の舞うころ」では、佐々木蔵之介演じる藤原宣孝が、まひろと為時に会いに越前にやってくる。 【参考文献】 『新潮日本古典集成〈新装版〉紫式部日記 紫式部集』(山本利達校注、新潮社) 『現代語訳 小右記』(倉本一宏編、吉川弘文館) 『紫式部』(今井源衛著、吉川弘文館) 『紫式部と藤原道長』(倉本一宏著、講談社現代新書) 『敗者たちの平安王朝』(倉本一宏著、KADOKAWA) 『藤原伊周・隆家』(倉本一宏著、ミネルヴァ書房) 『江南の発展 南宋まで(シリーズ中国の歴史2)』(丸橋充拓著、岩波新書) 『偉人名言迷言事典』(真山知幸著、笠間書院)
真山 知幸