「せっかちで目立ちたがり」な企業は何県に多いか? 帝国データバンク調査
国内企業約147万社分の決算など膨大なデータを保有する信用調査会社「帝国データバンク」が、読売新聞の中村宏之記者とともに、各都道府県に見える地域ビジネスの特徴を新書『地元の力を生かす「ご当地企業」』(中公新書ラクレ)にまとめた。 本書は、地域経済の特徴を県民性とともに紹介する。例えば福岡県は「せっかちで目立ちたがり」という気質があるが、これが、短期間で最大の成果を得ようとする行動力につながり、革新的なビジネスを先駆けて起こす原動力になるという。中村記者は「地元の人なら良く知っているようなことであっても、ひとたびその県の外に出ると、意外と知られていないことが多い」と話す。 データの解析を担当した帝国データバンク産業調査部の北村慎也課長(49)に、調査から何がわかったのかを聞いた。
群馬県は静岡県と似ている
── ビッグデータの分析によって、新たな発見はありましたでしょうか。 北村 文化面では、よく近隣の都道府県同士が似ていると言われますが、ビッグデータの分析により、ビジネス面では、遠く離れた場所にある都道府県同士の特徴が似ているケースがあることがわかりました。 たとえば、群馬県の場合、「事業承継確率(後継者の有無)」や「従業員還元度(労働分配率)」など10の指標で比較すると、同じ北関東にある栃木県や茨城県よりも、東海の静岡県に似ています。群馬県には、自動車メーカーのスバルの工場が複数あり、静岡県にも同じく自動車メーカー・スズキの本拠地があります。2社はともに、年間売上高が3兆円台と同程度の規模です。両県とも、県内経済がこれら自動車メーカーの事業活動の影響を大きく受ける、という特徴があるためだと考えられます。 ── 他にどういった都道府県同士が似ているのでしょうか。 北村 和歌山県は、近畿の府県と似ているのかと考えていたのですが、実際には徳島県や高知県といった四国の両県に似ていました。ほかにも、秋田、岩手、山形の東北3県と島根県、石川県と岡山県と熊本、宮崎、鹿児島の南九州3県が似ています。