J2水戸 本間、ホーム最後の勇姿 「こんな幸せな終わり方はない」 茨城
今季限りでの引退を表明しているJ2水戸ホーリーホックのGK本間幸司(47)=茨城県日立市出身=が3日、同県のケーズデンキスタジアム水戸で行われた今季ホーム最終戦に出場した。試合後、本間は「こんな幸せな終わり方はない」と笑顔を見せた。 会場にはクラブ史上最多となる1万488人が詰めかけ、最後のプレーを見守った。フル出場した本間は、自身が持つリーグ通算出場記録を577試合に伸ばし、複数のシュートストップを披露するなど、最後まで多くのサポーターを沸かせた。 試合後のセレモニーには、29年間の選手生活を支えた家族や仲間らが参加し、長年の活躍をねぎらった。本間は「ピッチ上ではいろいろな感情があった。引退はすごく寂しい気持ちだが、楽しんでプレーできた」などと語った。 ■本間「全ての人に感謝」 J2水戸、引退セレモニー 守護神、駆け抜けた29年 29年間の現役生活に幕を閉じる本間幸司選手(47)はホーム最終戦後の引退セレモニーに臨み、「関わってくれた全ての人たちに感謝したい」と思いを語った。 セレモニーで本間選手は、盛大な拍手に迎えられながら、チームメートらがつくる花道を通ってピッチへ。水戸で共にプレーした鈴木隆行さんや田中マルクス闘莉王さん、親交のある元日本代表の三浦知良さんら、盟友からのビデオメッセージがスタジアムのビジョンに流れると、思いにふける表情で画面を見つめた。 あいさつの第一声は「本間幸司、29年間のプロ生活を今年で終わりにします」。小学校から高校時代、そしてプロ選手として第一歩を歩み始めた浦和レッズでの経験を思い起こし、「(浦和時代は)ゴールの前に立つのが怖い時期もあった」とも。「一つのプレーで人生が変わる経験をすることができた」と、若手時代に得た財産を口にした。 水戸に加入したのは1999年。クラブは日本フットボールリーグ(JFL)に属していた。当時の練習場は土のグラウンド。ピッチ内には野球のマウンドがあり「こんな所でサッカーをするのか」と驚きを隠せなかったという。ただ、「チームメートが泥だらけ、血だらけになりながらプレーする姿を見て、考えを改めた」。水戸のために戦う決意を固めた瞬間を振り返った。 J2に昇格した2000年以降、水戸一筋を貫いてきた。若手が台頭し、40代になって出場機会が減っても、背中で手本を示してきた。「(選手として)ピッチには立てないが、自分の残るパワーをホーリーホックで発揮したい。近い将来、必ずJ1に行きましょう」。引退後も水戸に関わり続けることを宣言し、「まだまだ頑張ります」と笑顔で力強く締めくくった。 水戸在籍26年目のレジェンドの本拠地最後の雄姿に、サポーターからはねぎらいや今後の活躍を期待する声が上がった。同県石岡市、パート、石井友佳さん(42)は「クラブがここまで成長したのは幸司さんのおかげ。本当にお疲れさまと伝えたい」と述べ、同県東海村、会社員、池田秀和さん(57)は「これからもクラブに携わり、水戸のスピリットを伝え続けてほしい」と望んだ。
茨城新聞社