一度覚えたら絶対に忘れない…「20%引き」と「20%増量」、どちらがオトクか一瞬で分かる方法
通分を使ってみると?
ここで効果的なのが、小学生で習った「通分」です。「3分の2」と「4分の3」という分母の違う2つの分数の分母を「揃える」ことで、数字の大小を比較しやすくするのです。この操作は馴染み深い人も多いのではないでしょうか。 あとは、今回の問題にこの考え方を応用するだけです。「100gで80円」と「120gで100円」という2つを、どちらかの数字を揃えれば良いのです。例えば「100gあたりいくら?」と考えるのであれば、「120gで100円」の方を 120g:100円 ↓ 100g:100円× 100/120 = 83.33…円 というふうに100gあたりの値段に揃えることで比較しやすくなります。「20%引き」が100gあたり80円なのに対し、「20%増量」は100gあたり約83円となるため、20%引きの方が安いことが分かります。 しかし、この計算は少し煩雑で、綺麗な整数の値にならないので大変だ、と感じる人もいるでしょう。そんな人は、逆に「100円で何g買うことができる?」と考えてみると良いかもしれません。すると、「100gで80円」の方を 80円:100g ↓ 100円:100g × 100/80 = 125g と100円で購入できる量に変換できるため、こちらも比較できるようになります。「 20%増量」では100円で120gしか購入できないのに対し、「20%引き」では125gとなるため、この計算でも同様に20%引きの方が安いことが分かるのです。 このように、何かを比較するときには分母を揃えることはとても重要になります。他の問題でも役に立つスキルなので、ぜひこの機会に覚えてみましょう。
極端な例を考える
さて、今回は「20%引き」と「20%増量」はどちらがオトクか、というクイズについて、数学的に考えていきました。 最後に、より数学マニアな方に向けてより簡単に、そしてより面白くこの問題を解くことができる考え方をお伝えしましょう。それはズバリ、「極端な例を考えてみる」ということです。 今回は「20%」でしたが、これを「100%」に変えるとどうなるか一度計算してみましょう。 「100%引き」なんてシールを見たことがある人はいないと思いますが、もしこんなシールが商品に貼られていた場合、とんでもないことになりますよね?割引の理論で言うのであれば、その割合分だけ商品の値段が引かれるため、100%引きとはつまり「無料」ということになります。 それに対し、「100%増量」はいかがでしょうか?100%がちょうど元々の内容量と同じ量になるため、ちょうど量が「2倍になる」ことになります。つまり、上で考えた「100gで100円」の食料品で考えると、「100%引き」、「100%増量」はそれぞれ以下のようになるのです。 ・100%引き 値段:0円 内容量:100g ・100%増量 値段:100円 内容量:200g ここで、100%増量は同じ値段で2倍の量をもらえるため、実質「半額」となることが分かります。つまり、100%増量は50%引きと同じ意味なのです! 100%増量でやっと50%引きになるのだから、20%増量は20%引きには届かなさそうだな、と考えることができます。これが、「極端な例を考える」ことのメリットです。 実際に数学の問題を解く場合は、もっと厳密な定義をしたり、記述文章で説明したりすることが必要ですが、このようなクイズ形式の楽しい問題であれば、あえて大きな数字で一度考えてみるという手法はとても効果的ですので、ぜひ実践してみてください。 今回の記事は、こちらで以上となります。ぜひ今度スーパーに行ったときには、割引や増量のシール、キャンペーンに注目してみてください!
永田 耕作(現役東大生・ドラゴン桜チャンネル塾長)