飯田線は秘境駅の宝庫
この飯田線、全線を乗り通すのには時間と忍耐が必要で、私自身も学生時代に一度あるだけだ。87年3月、東京から大垣行きの夜行を使い、豊橋5時45分発の岡谷行きに乗車。本長篠(愛知県新城市)から三河川合(同)までの間、朝もやに包まれた宇連(うれ)川は川底の岩盤が透けて見えて、まるで墨絵の世界だった。途中、何か食べようと飯田でいったん降りたのだが、適当な店が見つからず、諦めてまだ駅に止まったままの列車に戻り、さっきまで座っていた席に着いて旅を続けたという思い出も。終点の岡谷着は12時46分。7時間の旅は今も記憶に残っている。 …などという旅程を分単位で書くことができるのは、JTB時刻表87年3月号の復刻版のおかげ。6年前に発売されたものだが、裏表紙は今はなき山一証券の広告で、この間の月日の長さを感じさせてくれます。 ☆共同通信・八代 到