“超短期決戦”となった衆院選 異例の動きとなっている県知事選 山形県内の選挙の一年を振り返る
ことし1年の山形県内の出来事をシリーズで振り返る「カメラが見つめたやまがた2024」。5回目は“超短期決戦となった衆院選や次期知事選をめぐる異例の動きなど「選挙」をテーマに1年を振り返ります。 1月ー。吉村知事の4期目の任期満了まで1年あまりー。次の知事選への対応については…。 吉村知事「現時点では目の前の課題にしっかり取り組んでいく」(出馬に前向き?)「いや、なんとも言えない」 一方、前回、2021年の知事選で吉村知事への対抗馬を擁立し、大差で敗れた自民党。次期知事選に向け、候補者擁立を模索していました。 自民党県連・遠藤利明会長「広く県民党として活躍できる人に出てもらえればありがたいし、人選していきたい」 7月ー。自民党県連大会に招かれた吉村知事は、自民党への“配慮”を垣間見せました。 吉村知事「新しい山形新幹線のトンネルが実現するのを全力で進めてまいる。遠藤先生(衆院議員)、この場をお借りしてどうか引き続きよろしくお願いいたします」 吉村知事(現時点で知事選出馬の意向は?)「あ、ちょっと、申し訳ございません」 自民党は、裏金問題などの影響で候補者の擁立が難航ー。 自民党県連大会に出席 後藤源元県議「来年1月、知事選挙もある。この知事選に対して何ら具体的なことが書いていない。知事選挙についてどう考えているのか」 自民党県連・遠藤利明会長「残念ながらまだこの段階で立候補する、立候補したいという意思を表明する人が出てきていない。引き続き鋭意努力したい」 こうした中、県内を襲った記録的大雨で庄内・最上を中心に甚大な被害が発生しました。 8月ー、吉村知事は、県選出の自民党国会議員とともに岸田総理に緊急要望。政府の激甚災害指定を受けました。 吉村知事(知事の今期の任期満了まで8月13日で半年。5期目についてどのように考えているのか)「この度の豪雨災害が発生してからは全容把握と復旧復興に当面、全力をかけていかなくてはならない。自分のことは今、考えている暇がない状況」 国政では、岸田総理が次の自民党総裁選への不出馬を表明ー。 その後の総裁選を経て10月に就任した石破新総理は、わずか8日後に衆議院を解散。異例の“超短期決戦”に突入します。 衆院選では県内の自民党候補も、裏金問題による“逆風”を感じながらの選挙戦にー。 自民党(県1区)遠藤利明氏「なかなか今回の選挙は難しい。これまでのいろいろな事件の経緯もあるのかなと若干不安になる」 自民党(県3区)加藤鮎子氏「“接戦”という言葉を見て本当に申し訳なく思いました。申し訳ない」 結果は・・・。 遠藤利明陣営「バンザーイ」 今回も県内3つの小選挙区すべてで自民党の現職が選挙戦を制しました。 自民党(県2区)鈴木憲和氏「私たち1人1人の政治家の言葉や日々の姿勢に対して大変厳しい目があるのを感じながら選挙をさせていただいた」 一方、全国では、自民党が大敗し、野党が躍進。県内でも国民民主党の新人が比例で復活当選を果たしました。 国民民主党(県2区)菊池大二郎氏「地域の声こそが国の力になるというキャッチフレーズにかけた思いをさらに高め合いながら活動していきたい」 今回の衆院選では、吉村知事が異例の動きを見せました。これまでの選挙などで距離を置いてきた自民党候補3人の激励に訪れたのです。 吉村知事「本当にあの、皆さん、驚かれていると思う。私も大変緊張してきた」 7月豪雨の際、政府の激甚災害指定に尽力したことへの“恩返し”ということです。 吉村知事「いろいろなお力添えをいただいたのが遠藤先生(衆院議員)。本当に心から感謝」 自民党(1区)遠藤利明氏「長く選挙をした中で、こんなに感激を味わったことはない」 異例の動きはほかにもー。県議会で自民党と対峙する会派・県政クラブに所属し、知事と近い県議が、自民党候補の応援演説を行いました。 県政クラブ 吉村和武県議「吉村、間違えて来たのではないかと思う方もいらっしゃるかもしれない。しっかりと国と連携していかなければいけない。そのような思いで吉村知事は遠藤候補の事務所にも行ったし、私もいち県議会議員として全く同感」 県内の市町長選の結果は 「2月・舟形町長選新人との一騎打ちを制し現職3選」 「3月・遊佐町長選現職死去に伴う新人同士一騎打ちで初の女性町長誕生」 「4月・川西町長選無投票で県内最年少40歳のトップ誕生」 「7月・小国町長選元職との3度目の一騎打ち現職が265票差で勝利」 「10月・飯豊町長選新人同士の激戦はわずか44票差」 「12月・天童市長選16年ぶり選挙戦は前副市長が初当選」 「大江町長選・金山町長選・白鷹町長選・朝日町長選は現職で無投票当選」 そして、知事選の告示まで1か月あまりに迫った12月ー。 吉村知事「私は来たるべき来年の知事選挙において、県民の審判を仰ぐ決意を固めた」 吉村知事は5選を目指し、次の知事選への出馬を正式に表明しました。これまでと同様に無所属で出馬するとしながら、出馬表明の翌日には、自民党県連に支援を要請しました。 吉村知事「災害からの復旧・復興に全員の力を結集して取り組んでいかなければならないと思っている。ぜひよろしくお願いしますと申し上げた」 自民党県連は、独自候補の擁立を断念。そのうえで今回初めて吉村知事の〝支援〟という異例の決定に踏み切りました。 自民党県連・遠藤利明会長「当然これから各種選挙あるいはいろいろな施策についても知事と連携して進んでいけるものだと思っている」 国政では来年夏、参院選が行われます。現時点では、無所属の現職と自民党の新人がそれぞれ出馬を表明しています。 11月の朝日町長選ではこの2人が「鉢合わせ」する一幕もー。 芳賀道也氏「与党も野党もなく、しっかりと協力して頑張っていきたい。引き続きふるさと、地域をより良くするため頑張っていきましょう」 大内理加氏「来年の参院選でしっかり当選して朝日町のためにお役に立てることが鈴木町長への恩返し。精一杯私も頑張る」 今年、県政界で表面化した“地殻変動”ー。それは、来年の政治決戦を見据えた動きへとつながっていきます。