「自分の命を10年削っても、あの子の命を1年取り戻したい」飼い主の深い悲しみと罪悪感…つらい“ペットロス”を乗り越えるための2つのプロセス
悲しみと回復を繰り返してペットロスを乗り越えていく
また、ペットを喪った人は周囲に怒りを感じたり、自分を責める怒りに襲われることもあります。どれだけペットに尽くしていたとしても、ほとんどの人が罪悪感や自責の念を抱きます。 「傍にいることが当たり前だと思っていた。いちばん大切なことだったのに」 「もっと大切にしなければいけなかった。おざなりにしていた自分が許せない」 これらは実際、ペットを亡くした方から聞いた言葉です。 子どものような存在のペットを自分が助けてやれず守ってやれなかった、と自分を責めます。これらの怒りや自分を責める気持ちは、抑うつ徴候と関連していると言われます。抑うつとは、気分が落ち込み、憂うつになり、何もやる気がなくなってしまうことです。 悲しみ、心の痛み、落胆、絶望などの感情を抱いたり、体調不良になったり、うまく考えることができなかったり、周りの人とコミュニケーションがとれなくなったりします。亡くなったペットを何とか取り戻したい(現実的には難しいことなのですが)という考えで頭がいっぱいになる人もいます。 なぜこのように苦しむのか、愛情を注がなければ、飼わなければ、こんなに悲しまなくてもよかったのではないのか。苦しみのあまりペットと一緒に暮らした日々さえも否定したくなります。 ペットのことを思い、泣いたり悲しんだりする。同時に、ペットのいない日常に少しずつ慣れて生活を続けていく。また悲しむ。 この悲しみに向き合うグリ―フワークのプロセスと、新たな生活に向かう回復のプロセス、この2つのプロセスを揺らぎながら行ったり来たりします。それは人によって数週間だったり、数カ月だったり、数年かかったり、喪失の原因や闘病の期間も関係するので様々です。 愛情を注げば注いだ分だけ悲しみも深くなります。 けれどペットに精一杯愛情を注いで、一緒に幸福な日々を過ごしたことこそが、あなたの悲しみを和らげてくれるのです。 悲しみと悔しさ、寂しさや切なさの混沌とした世界で、苦悩しながらも自分とペットだけの特別な物語を紡ぎ、関係を結び直していくのです。
濱野 佐代子/Webオリジナル(外部転載)