「関税爆弾設計者」ライトハイザー元米通商代表部代表、超強硬保護貿易のトップに指名か(2)
◆「貿易赤字の米国を救済する唯一の道が関税」 ライトハイザー氏が注目する核心指標は米国の貿易赤字規模だ。ライトハイザー氏は数十年間にわたり自由貿易をしながら米国が莫大な貿易赤字を出し、数兆ドルの国富が海外に流出し、数百万件の雇用が消え、中産層の生活が崩れたとみている。自由貿易主義を「略奪的産業政策」と規定したライトハイザー氏は、これ以上略奪されないために保護障壁を築くべきだと主張する。米国を救済する唯一の道として解決策に掲げたのが関税障壁だ。 ライトハイザー氏は大統領選挙を5日後に控えた先月31日、FTへの寄稿で「持続的に大きな黒字を出す国は世界経済の保護貿易主義国家だけ」とし「米国の貿易パートナー、特に貿易黒字が大きい国は米国の政策変更を非難するべきでない。我々はこれらの国々がもたらした被害に対応するだけだ」と主張した。トランプ氏の再執権時の超強硬保護貿易主義を予告した事前警告だったという解釈が出ている。 ライトハイザー氏は今年3月のエコノミストへの寄稿でも普遍的基本関税論に言及していた。ライトハイザー氏は「米国の貿易赤字を減らすためには全般的に少なくと10%の新たな関税が必要だ」とし「経験から、こうした政策は成功するはずだ」とした。中国に対しても2000年の中国の世界貿易機関(WTO)加入を承認するために付与した「最恵国」地位を剥奪することを提案した。この場合、米国の対中国報復関税に障害物が消える。 呂翰九(ヨ・ハング)元通商交渉本部長は「通商経済分野の要職を引き受けることになるライトハイザー氏が米国の貿易赤字を減らすためなら同盟かどうかを問わず関税障壁など激しい圧力を加えてくると予想されるだけに、韓国政府も綿密な対応が必要だ」と述べた。 ◆ロバート・ライトハイザー(Robert Lighthizer) 1947年に米オハイオ州で生まれ、ジョージタウン大ロースクールを卒業した。攻撃的性向のライトハイザー氏はレーガン政権で米通商代表部(USTR)次席代表として数十件の貿易交渉を主導し、1985年の退職後にはローファームで米国鉄鋼企業を弁護しながら海外法律紛争を処理し、「米国最高の交渉家」と呼ばれた。トランプ政権1期目の2017年にUSTR代表に任命され、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉を陣頭指揮するなど、トランプ政権の強力な保護貿易主義政策を設計した。