昇進した優秀な同期に「昇進うつ」の危険性を指摘…他人の幸せが絶対許せない人の「頭の中」
根性論を押しつける、相手を見下す、責任をなすりつける、足を引っ張る、人によって態度を変える、自己保身しか頭にない……どの職場にも必ずいるかれらはいったい何を考えているのか。発売たちまち4刷が決まった話題書『職場を腐らせる人たち』では、ベストセラー著者が豊富な臨床例から明かす。 【写真】知ったら全員驚愕…職場をダメにする人の「ヤバい実態」 ある家電メーカーでは40代の男性社員があれこれケチをつけるので、周囲は辟易している。たとえば、新しいプロジェクトを立ち上げようと頑張っている後輩に「どうせうまくいかないよ」「やるだけ時間の無駄」などと言う。そのプロジェクトがうまくいき、みな喜んでいても、「これが続くかどうかわからない」「次はそんなに簡単じゃない」などと水を差す。いつも他人の喜びを台無しにして、やる気をくじくそうだ。
本人は厳しい現実を教えてやっているつもり
この男性が何にでもケチをつけるのは、今に始まったことではない。5年ほど前にも、同期のトップで課長に昇進した男性社員に「どうせ課長になっても、責任ばかり重くなって、給料はあまり上がらない。大変な思いをするだけだよな」と言ったことがあるらしい。それだけではない。「管理職になったことをきっかけにうつになる『昇進うつ』というのがあるそうだから、気をつけないとな」と心配そうな素振りも見せたという。 そのせいか、課長に昇進した同期は、自分がうつ病になるのではないかと不安になり、昇進直後の面談の際、私に「昇進うつというのがあるそうですね。僕もそういうのになるんでしょうか」と質問した。私は「昇進したからといって、みながみなうつになるわけではありません。昇進うつになるのはごく一部」と説明し、なぜこのような不安を抱くようになったのかと尋ねた。すると、例の男性から昇進うつになる危険性を指摘され、かなり動揺していたことが判明したのだ。 それ以外にも、海外赴任が決まって喜んでいた同僚に「外国は日本と違って治安が悪いから心配だな。それに、奥さんが海外での生活になじめないとか、子どもの学校のことで苦労するとかいう話もよく聞くよな」と言ったこともあるそうだ。 とにかく一言多く、何にでもケチをつける。そのため、せっかく喜んでいたのに、それをぶち壊されたように感じ、怒っている人が社内には多い。しかし、そういう反応に本人はまったく気づいておらず、無頓着のようだ。 しかも、「がっかりしないためには、最悪の事態を想定しておかなければならない。うまくいっているように見えるときこそ、落とし穴があるのだから、用心しないとな」というのが口癖で、自分がネガティブな面ばかり指摘することを悪いとは思っていないように見える。 しょっちゅう他人の喜びに水を差し、顰蹙を買っていても、本人の言によれば「あまりにも無邪気に喜んでいるから、問題点を指摘して、現実はそんなに甘くないことを教えてやっているだけ」ということになる。