長野県塩尻市の桑の湯、惜しまれ閉業 最終日もファン次々と
長野県塩尻市内唯一の銭湯・桑の湯(大門一番町)が30日、最後の営業を行い、昭和4(1929)年創業以来の歴史を閉じた。多くの常連や県内外の銭湯ファンが訪れ、名残を惜しんだ。 午後3時に営業を始めると常連らが続々と訪れ、4代目店主の桑澤弘幸さん(53)らが「いらっしゃいませ」と出迎えた。桑澤さんに手土産を渡して思い出話に花を咲かせたり、記念にせっけんなどを買い求めたりする様子もあった。 訪れた人は、桑の湯での思い出を振り返りながら、ゆっくりと湯船に漬かっていた。 7年間、週末に電車で通った松本市里山辺の会社員・長村尚さん(53)は「松本まで帰っても体が温かいままなのは、まきならではの魅力だった。これから寂しくなってしまう」と閉業を悲しんだ。塩尻市峰原の大学職員・中嶋清裕さん(62)は「レトロな感じが好きだった。今まで維持してきてくれてありがとう、ご苦労さまと言いたい」と話した。 混雑緩和を目的に、本来は定休日の6月28日(金曜日)も営業し、28~30日は終了時刻を30分延長して午後10時まで営業した。桑澤さんは窯の管理や接客に明け暮れながら「お客さん、スタッフの『桑の湯愛』に支えられて今までやってこれた」と感謝をにじませた。 桑の湯は銭湯を継承する事業者を公募している。
市民タイムス