民間の医療保険「1入院の限度日数」は何日で設定するべき?
医療保険の上手なかけ方とは
データから読み解くと、入院期間が短くなっているからといって、1入院の限度額を短くしてしまうのは得策ではないことがわかります。 では、1入院の限度日数を増やすとどの程度保険料が変わるでしょうか。30歳男性、日額1万円の医療保険で1入院の限度額を試算してみました。 30日:2680円 60日:3170円 120日:3580円 30日と60日では490円の差、80歳まで払い続けた場合294000円の差額 60日と120日では410円の差、80歳まで払い続けた場合246000円の差額 月にすると大きな保険料ではありませんが、80歳まで払い続けた総額で考えると大きな差が生まれます。平均在院日数の全体の平均は32.3日でしたから30日限度の選択でも、充分間に合うという考え方もできます。しかし、年代によっても在院日数には大きな差がありますので、60日、約2ヵ月の備えは必要ではないでしょうか。 では、ケガ以外の疾病に関して長期に渡る病気の備えはどうでしょうか。先ほどご紹介した平均在院日数のデータは、「退院時に何日入院していたか」のため1回の入院に関しては短い場合もあります。ですが、生活習慣病と呼ばれる完治が難しい病気や再発、併発の恐れがある病気では、一度退院した後に再入院の恐れがあります。 民間の医療保険では、退院後、次に再入院するまでの期間に取り決めがあります。もし、その期間内に入院があった場合、別の入院でも1入院とみなすことがあります。 例えば、1回目の入院が15日、1ヵ月後に再度20日入院することになれば、1入院とみなされることがあります。1入院の限度日数を30日にしておくと、5日分は支払われないことになってしまいます。入院と入院の間の期間は商品によって違いますので、加入している保険は何日なのか確認しておくことが必要です。 このように、入退院を繰返すおそれのある病気には、八大疾病と呼ばれる病気に多く見られます。 八大疾病とは、悪性新生物・脳血管疾患・心疾患・高血圧性疾患・糖尿病・腎臓疾患・肝臓疾患・膵臓疾患などです。このような病気に限り、1入院の制限をなくし、無制限に入院日額を支払う特約もあります。この特約を付帯すると長期の入院リスクに備えられるでしょう。 商品により、特定疾病、三大疾病など限定する病気の内容が違います。また、無制限ではなく、120日、180日というように、特別な病気だけ限度日数を延ばす商品もあります。すでに医療保険に加入しているひとは、今の保障内容がどのようになっているのかを確認してみましょう。 これから医療保険を検討するひとは、将来のこともよく考え、限度日数や長期入院に備える特約などを検討するといいでしょう。
寺田 紀代子(ファイナンシャルプランナー)