小学校受験を経営コンサルティング手法で精査、「させない」とした本荘家の場合
「小学受験どうする!?」先輩の幼稚園ママから受験の話を聞いた妻からの問い。コロナ禍で小学校受験がちょっとしたブームになりました。しかし、さっと調べてみて、自分の子どもと家庭を考えると、近くの区立に入れようとなりました。 もちろん、私立など受験して入る小学校には立派なところもあり、それに向けて努力することは尊重しますが、周りに引っ張られて受験に走るより、自分で選ぶのが大切です。 ◾️目的・ベネフィットの確認からファクトの理解へ 経営コンサルティングの手法も加味して検討してみました。 まずは、そもそも論や基本的な考え方が大切です。小学校受験の目的・ベネフィット、そして子ども、親のそれぞれの視点です。 小学校受験のメリットは、すでに各所で示されているので、ここでは詳しく書きませんが、中高大にエスカレーター進学、特徴ある教育、良い環境などが言われています。よい親子が集まると言う人もいます。もっとも、これらを鵜呑みにせず、仮説として確かめることです。 そしてファクトを理解します。比較的近くの私立小学校を中心にみてみると、 ・小学校に合格して入っても、多くが中学受験をしている。 ・有名小学校に入っても、大学に進めない生徒がかなりいる。 ・試験について、いかがなものかという内容が散見される(年齢からして仕方ないと思うところもあるが)。 ・受験:競争率が高く、落ちる確率は高い。確率を上げるため数校受けると、試験内容も異なり、準備が大変。 ・ロジスティクス:通学の時間・労力が生じる。弁当、アフタースクールなどの制約も。 ・お金:公立よりかかる。 そして、ヒアリングします。 ・小学校受験の家庭教師の経験者 ・子ども教育の専門家 ・小学校受験を経験した親と本人 ・近所の区立の小学生の親 すると、受験準備が結構な負担であり、落ちると子どもも親も精神的ダメージあり。ある子どもは、受験で落ちたことがショックでしたが、一方で公立に入れたことをとても喜んだそうです。子どもの心は大切です。そして、受験準備に取り組む親が大変、落ちた子どもと親の関係や夫婦仲に影響、などリスクもあります。 ◾️メリット・デメリット こうした事柄のトレードオフを考えます。小学校受験のメリットとデメリットを総合的に見つめるのです。 また、クラスのメンバーなどにより、同じ小学校でも子どものライフはかなり変わるとか。私立はよい親子が集まるという声も、困ったクラスメートや親とずっと一緒というリスクとセットでもあります。いずれにせよ入学すれば万事OKではありません。 近所の区立は給食の評判がいいし、通学の時間を他に使えます。放課後などで親がケアする時間的余裕も生まれます。 一般論だけでなく、「主語」が基本です。子どもや母親、つまり家庭の固有名詞にフィットする戦略を選ぶことです。のびのびかつ熱中すると打ち込む(同時にイヤなものはイヤ)息子には性格的にも合わない、それに母親・父親が疲れ果てるリスクもありと考え、年小の時にあっさり受験をしない方針にしました。 国際的にみると、日本の教育はよい面もいっぱいあります。高等教育に行くほど課題があるように言われますが、課題はあるが公立の小学校も頑張っています。また、筆者が公立の小学・中学で、いろんな人と一緒だったのは財産でもあります。 ◾️「家庭のガバナンス」問題も なお、色々とお話をうかがうと、家庭のガバナンス、つまり意思決定の問題も感じました。(親の親など)周囲のプレッシャーで受験に進んだ例や、とにかく受験と父親が決めて母親に任せた例、全て母親に任せっきりの例、など。やはり家庭がチームで意思決定するのが大切です。わが家では子どもを交えた小さな家族会議をしょっちゅうやっています。 受験準備の時間とエネルギーを他に使うこともできます。わが家では4歳からスクラッチのプログラミングをやりました。小学校に期待しすぎず、型にはめずに、ジャンプする土台をつくることを重視しています。もちろん小学受験で素晴らしい人生を得た方々もいますが、こういう選択もありかと思います。
本荘 修二