BMW/i5ツーリング M60 X Drive|バックも車庫入れも自動運転できるEVステーションワゴン【石川真禧照の名車を利く】
文・石川真禧照(自動車生活探険家) BMWが2024年2月に日本市場で販売を開始した、中型の高級ステーションワゴン「5シリーズツーリング」に新たに加わったのが「i5ツーリング」。日本で初めてとなるステーションワゴンタイプの電気自動車だ。 写真はこちらから→BMW/i5ツーリング M60 X Drive|バックも車庫入れも自動運転できるEVステーションワゴン【石川真禧照の名車を利く】 BMWの5シリーズといえば日本で初めて一定条件下でハンドルから手を離しての走行が可能な運転支援機能を、国産車よりも早く、役所から認可を取得したことで話題になったモデル。新型ではさらに多方面に渡って多機能な先進運転支援技術を導入してきた。その多くの機能の効果は驚きのものだ。 BMWの乗用車といえば、スポーティな走りの良さを追求した車造りで知られているが、電気自動車のステーションワゴンは、ファミリーカーとしても使われる頻度が高いことから、安全機能や運転支援装備の充実が図られている。 運転支援に関してはレベル2の段階で実用化されている。定められた高速道路での渋滞時のみに運転者の負荷を軽減する自動運転機能だ。 普段の走行では高性能カメラとレーダーなどでの解析能力がフル活動。ストップ&ゴー機能付きの車速維持や車線変更警告、車線逸脱警告、事故回避ハンドル操作機能、出会い頭事故防止、ペダル踏み間違い急発進抑制機能などはすべて標準装備としている。 試乗中に重宝したのは「パーキング・アシスト・プロフェッショナル」という機能。新型i5ツーリングは先代よりも車体が大きくなり、全長5m超、全幅1.9m、ホイールベースは約3mになった。で、この機能は、時速35キロ以下で走行した道を200m前まで車が記憶し、同じルートをバックで正確に戻ることができる、という機能なのだ。細い道での対向車とのスレ違いに困ったときなど、車が大きいとバックするのも大変な作業。それを車が正確に行ってくれるのだ。これは便利で安全な機能といえる。 さらに標準装備されたのが、「駐車経路自動誘導機能」。駐車時のハンドル、アクセル、ブレーキ操作が一切不要な機能で、自宅やよく行く駐車場を車に登録しておくと、そのスペースに近づくと、車が自動で検知し、完全自動駐車が可能になるという。しかも記憶できる駐車場は最大10か所。駐車スペースが狭いときは、運転者が下車し、車外からスマートフォンで操作することもできる機能も装備されているのだ。 思わず感心する装備はまだある。標準装備の車載カメラは車の前後・左右を記録する。後付けのドライブレコーダーとは異なり、前後の撮影もウインド越しではなく直接撮影なので、あおり運転などでもナンバーが鮮明に記録できる。また左右のカメラで幅寄せなどの記録も撮影されるので運転中も安心だ。 最後に紹介する装備は盗難防止。車が施錠された状態で異常を検知すると、登録されているスマートフォンに通知がくると同時に、車の周辺や室内の映像もスマホで確認できるというのだ。 BMW初のEVステーションワゴンの動力性能を語る前に、車本体の最新装備紹介が長くなってしまった。それだけ紹介したくなる装備がこの車には多かった。 最上級の「M60 Xドライブ」は261psのモーターが前輪に、340psのモーターを後輪に搭載している。加速性能は0→100km/hを実測でも4秒台前半で駆け抜けるというスーパースポーツカーレベルの高性能。さらに急加速を望む人にはハンドルに「BOOST」機能作動用のスイッチも付いている。これほどの高性能でも電費は4km/kwh台を達成している。 一充電でも走行可能距離は445~506kmと発表されている。充電は200V、急速ともに可能だが、83.9kwhの電池容量には72%から100%充電に11時間かかるが一晩充電で十分に対応できる範囲だろう。 高速道路での使用が多く、リアに荷物を積む機会の多い人には魅力的なEVの登場だ。最近のゴルフ場は充電設備が完備しているところも多いので、乗っていきたい1台だ。 ・BMW/i5ツーリング M60 X Drive 全長×全幅×全高5060×1900×1505mm ホイールベース2995mm 車両重量2410kg モーター交流同期 77kw+105kw 最高出力261+340ps/8000rpm 最大トルク365+430Nm/0~5000rpm 駆動形式4輪駆動 一充電走行距離500km(WLTC) 使用燃料/容量リチウムイオン電池/83.9kwh ミッション形式電気式無段 サスペンション形式前:/後: ブレーキ形式前:ベンチレーテッドディスク 後:ベンチレーテッドディスク 乗員定員5名 車両価格(税込)1600万円 問い合わせ先 0120-269-437 文/石川真禧照(自動車生活探険家) 20代で自動車評論の世界に入り、年間200台以上の自動車に試乗すること半世紀。日常生活と自動車との関わりを考えた評価、評論を得意とする。 撮影/萩原文博
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