DeNAコーチの職を捨てて現役復帰。くふうハヤテ最年長、藤岡好明が歩む野球道
2023年10月11日、藤岡がシーズン終了をもって火の国サラマンダーズを退団することが球団から発表された。 そして11月4日、藤岡はちゅ~るスタジアム清水で開催された、くふうハヤテのトライアウトに参加した。 「来季から新たに、ファームリーグ限定でNPBに参加する球団ができるという話を聞いて、トライアウトを実施することを知りました。『チーム編成としては年間およそ130試合という長丁場を戦い抜くために、ベテラン選手も何人か必要と考えている』という情報も聞きました。球団が求める条件も自分には揃っていたので、『じゃあ受けてみよう』と思いました」 同日のトライアウトの参加者は、96人が参加した前日の1次試験に合格した49人に、1次を免除されたNPB経験者7人を加えた合計56人。藤岡はもちろん1次免除枠だ。ひとまわり以上も年の離れた若い選手に混じり、参加者最年長、当時38歳の藤岡はブランクを感じさせない安定した投球を披露した。 実戦形式のシート打撃では4人の打者と対戦し、2番目の打者に安打を許したものの、それ以外はNPBの1軍を主戦場に15年間も投げ続けたベテランらしい老練な技術で仕留めた。打者に投げるのは久しぶりだったが、コントロールの精度と投球術、打者との駆け引きは参加者の中でも際立っていた。 結果は「合格」。藤岡は2020年シーズン以来4年ぶりに、現役投手としてNPB復帰が決まった。それはソフトバンク、日本ハム、そしてDeNA時代とは違う目標に向かう、新たな挑戦の始まりだった。 (つづく) ●藤岡好明(ふじおか・よしあき) 1985年生まれ。大阪府出身。宮崎日大高からJR九州を経て、2005年大学・社会人ドラフト3巡目でソフトバンク入団。1年目に当時のパ・リーグ新人記録となる62試合に登板。2014年に日本ハムに移籍、2016年途中からはDeNAに移籍。2020年限りで現役引退してDeNA2軍投手コーチに就任した。しかし2022年シーズンは九州アジアリーグ・火の国サラマンダーズに移籍し、コーチ兼任で現役復帰。今シーズンからプレーするくふうハヤテでは、チーム最年長39歳ながら選手専任で活躍している 取材・文・撮影/会津泰成