相続納税 宅地評価が正確にすれば節税も可能に
親などが亡くなり相続が発生すると、相続人同士の合意などに手間取り、納税期限間近に納税の関係書類が完成することがよく見られます。大切な方を亡くした悲しみなども重なり、自分の土地の評価に、十分な注意を払わないケースも出てきます。 とくに都市部では土地の評価額が高額になっており、相続税を納め過ぎるケースもあり、注意が必要です。
不動産評価の特性を知る
相続が発生すると、その相続額によっては多額の相続税が発生します。誰しもできるだけ相続税は少ないほうがよいのですが、相続財産が多くなるとそうはいきません。 相続人の数にもよりますが、もし相続人が1人しかいない場合は、控除額が3600万円だけです。3人の場合でも4800万円です。相続財産が、この控除額以下の場合に相続税はかかりませんが、これを超えると相続税がかかります。 相続財産のうち、現預金や有価証券(株式、投資信託など)は、相続時点での額面どおりの金額で評価されますが、不動産の場合は、それに比べて評価額が下がります。現預金に比べて売却がしにくく、流動性が低いことが理由とされています。そのため、現金や有価証券が多く不動産が少ない場合は、相続の際にはやや不利になるといえます。 都市の住宅地の相続税の評価基準は、「路線価」と呼ばれる国が決め公表している価格です。「路線価」は、その土地が公道に接している場合、1平方メートル当たりの価格で、毎年1回国税庁が公表しています。実際にその付近で取引されている土地の実勢価格よりも、通常2割ほど低い数字になっています。
土地の形状により路線価は減額
この路線価は、土地の形状もほぼ正方形や長方形に近く、平坦で使い勝手にも問題がない、いわゆる「整形地」の評価額です。そのため問題がある土地については、路線価が減額される仕組みです。減額対象になるケースがいくつかあり、これらを知ることで相続税額を減額できます。 しかし納税時期が切迫しており、急いで計算すると、こうした減税対象になる項目を見落とし、公表された路線価のまま計算し納税する事態も起こり得るのです。 意外なことに「税理士にお願いしたので安心!」と考えるのも早計です。とくに所得税や法人税に精通した税理士は多くても、相続に詳しい税理士はそれほど多くなく、実際の作業でも現預金の計算や相続人同士での配分などに時間をとられていると、細かい土地の評価まで気配りできないことがあるかもしれませんので注意しましょう。