スズハローム（上）とクランフォード

［ＧⅡスワンステークス＝２０２４年１０月２６日（土曜）３歳上、京都競馬場・芝外１４００メートル］ 　勝ち馬にＧⅠマイルチャンピオンシップ（１１月１７日、京都芝外１６００メートル）の優先出走権が与えられる一戦。ＪＲＡによる番組の見直しに伴い、来年はマイルＣＳ前哨戦の色合いが強まって大幅に前倒しされることが決まった。スプリンターとマイラーが混在する顔触れは今年がひとまず最後。どんな争いとなるだろうか。 　今年は特に７ハロン巧者が集まった印象だが、充実ぶりが目を引くのはスズハローム（牡４・牧田）だ。３月にオープン入りすると、ＧⅡ京王杯ＳＣで３着と好走し、前走のＧⅢ・ＣＢＣ賞では初の６ハロン戦ながらクビ差２着と存在感を示した。昨年のこの時期に京都１４００メートルを走った際は、２勝クラスとはいえ上がり３ハロン３３秒２という極上の決め手で直線一気の快勝。重賞初Ｖの機は熟している。 　昨年のＧⅢ阪急杯勝ち馬で、その後も重賞で２度の２着があるアグリ（牡５・杉山晴）は前走のＣＢＣ賞がよもやの大敗。しかし、転厩初戦に加えて猛暑の影響もあっただけに、度外視することができる。今週から短期免許で騎乗予定のＣデムーロを鞍上に迎えるのも魅力だ。 　底知れない可能性を感じさせるのは、アグリの僚馬であるクランフォード（牝３）。４月の１勝クラスで同世代を圧倒すると、初の古馬相手となった２勝クラスも難なく突破した。さらに前走の豊明Ｓではコースレコードのおまけつきで堂々の３連勝。勢いはとどまるところを知らない。逃げても控えても競馬ができるだけに、４連勝の可能性も十分だ。 　一昨年のＧＩ・ＮＨＫマイルＣ覇者であるダノンスコーピオン（牡５・福永）は、今回のメンバーでただ一頭のＧⅠ馬。しかし、その後は苦戦が続いており、現状は３戦連続２桁着順の大敗を喫している。底力は間違いなく上位だけに、シュタルケとの新コンビが起爆剤となるか。 　古豪ウインカーネリアン（牡７・鹿戸）は意外にも初の７ハロン戦。マイル路線を主戦場としてきたが、春のＧⅠ高松宮記念で４着と奮闘。この距離がマッチすれば３年連続３度目の重賞Ｖもありそうだ。 　３歳牡馬は重賞ウイナー３頭がエントリーしてきた。ラジオＮＩＫＫＥＩ賞勝ちのオフトレイル（吉村）は武豊とのコンビ復活が頼もしい。シンザン記念Ｖのノーブルロジャー（吉岡）も休み明けを叩かれて前進が期待できる。ファルコンＳを制したダノンマッキンリー（藤原）はベストの距離で巻き返し必至だ。