唐十郎「主演」ドキュメンタリーを追悼リバイバル、17年ぶり上映…大島新監督「まさにシアトリカルな人」
ドキュメンタリーとは何かという問いを内包
唐十郎の本質に迫ることに加え、劇団員の芝居にかける思いを記録することをめざした「シアトリカル」。大島監督は、「『ドキュメンタリーとは何か』という問いが内包されているような作品にしたい」とも考えていたという。唐は「そのためにはもってこいの被写体だった」。
そもそも、大島監督の考えるドキュメンタリーとは何か? 「実在する人物とか、実際にある事象を撮影した映像素材に対して、作り手が解釈を施して表現したもの、ですかね。シナリオなしで撮ったものだとしても、『構成』という言い方をしますけど、編集段階でストーリーテリングするんですよね。だから、事実を基にした物語なんです」。作り手のまなざしを通して見るから、世界がまた新たな角度、深度で見えてくる。
大島監督は、公開当時よりも、ドキュメンタリー映画を見る機械が増えた人が結構いる」と感じているという。だから改めて「そういう、ドキュメンタリーに興味のある人にも見てほしい」と話す。
そしてもちろん、唐にもう一度出会ってほしいという。「古くからのファンの方はもちろん、まったく知らなかった人が新たに出会ってくれるとうれしいです。突き詰めてものを作り、作品を世に出していくというのはどういうことなのか、それがなにか、伝えられたらいいな、と思っています」
大島監督は、リバイバルを機に自身でも見直してみたら、いろんなことを思い出して「ちょっと泣けた」とも話す。緊張感、劇団員たちの苦労や思い、笑顔……。「それは別の思い入れというか、映画の評価ではないんですけどね」
※「シアトリカル 唐十郎と劇団唐組の記録」は12月14日から28日まで東京・ポレポレ東中野。ゲストと監督の特別トーク付き上映も予定されている。