1800年前の全国最大級の砥石発見 滋賀・中沢遺跡 新鋭の鉄刀を磨いたか
弥生時代の集落跡が見つかっている滋賀県栗東市から同県草津市に広がる「中沢遺跡」で、約1800年前の弥生時代末期~古墳時代初頭の全国最大級の砥石(といし)が見つかったと、栗東市教育委員会が発表した。識者は「当時の新鋭金属武器である鉄刀の普及に伴う、優品中の優品」と評価している。 【写真】大型砥石の出土状況 砥石は長さ32・9センチ、厚さ11・9センチ、重さ7・4キロ。八角柱の形状で、砥面の幅は3・9~5・2センチ。河川跡から見つかった。 8面のうち2面には、断面がU字型にくぼむほどの顕著な使用の跡が確認された。使用頻度が少ない面には、鉄製鑿(のみ)による角柱の加工痕跡が見られ、鉄器の普及状況を知るための重要な資料になるという。 この時代に作られた30センチ以上の大型砥石は、下稗田遺跡(福岡県行橋市)や纒向遺跡(奈良県桜井市)など日本を代表する拠点的な遺跡での出土が目立つ。 調査した栗東市出土文化財センターの近藤広さんは、中沢遺跡での過去の調査を踏まえ、発見された砥石は「弥生中期から古墳前期を通じ、湖南地域の中心的な集落のひとつであったことを証明するもの」と指摘する。 近畿の弥生社会に詳しい奈良県立橿原考古学研究所共同研究員の森岡秀人さんは「日本海側を中心に、大型の鉄製長刀が中国から流入した『激動の古墳出現期』に考案された超大型の砥石で、優品中の優品」と説明。中沢遺跡の再評価を迫る遺物と評価している。 砥石は、同センターで10日まで開催中の発掘速報展で一般公開されている。問い合わせは同センター(077・553・3359)。