「脳を喜ばせて元気に」加藤登紀子 人生後半をバラ色にする“ひとりごと習慣”
「ヘルプをお願いするときに、悲壮感丸出しで“どうか助けてください”なんて言ったら、相手は怖がるでしょう。SOSはなるべく明るく、ネガティブなお願いにならないほうが、相手も受け入れやすいものなんです」 悲しそうなSOSに人が寄ってこないのは、仕事でも同じだそう。 「深刻な顔をして“出資してください”なんて言ったら、相手は引いてしまいますよ。助けを求めるときでも、“私と一緒に仕事をしたらいいことがある”と思わせる雰囲気を醸し出すことが大切です」 これらがおときさん流の“さかさ思考”。悶々とした時代だからこそ、こうした発想は人生を明るく生き抜いていくためにいっそう必要性を増しているといえるだろう。 「私は常識にとらわれずに人生を楽しむことが好き。だから、年齢も81歳を逆さにして、18歳になった気持ちになれば、もっとポジティブに生きられる(笑)」 ■「上手に脳を喜ばせて元気になろう」 閉塞感を時代のせいにしないで、積極的に“自分らしさ”を求めていく――。大切なのは、これらを心に置いておくだけでなく、きちんと行動に移すことだ。現在、自分らしく生きている50代の中で、おときさんが注目する有名人がいるという。 「最近のキョンキョン(小泉今日子)を見ていると、50代をうまく乗り切ってリスタートしたな、と思って見ています。彼女は、これまでの常識や固定観念にとらわれることなく、自分らしく生きていますね。同世代の50代の人たちに勇気を与えてくれるオピニオンリーダーのような存在ではないでしょうか」 最近は、“元気の秘訣は何ですか?”と、質問される回数が増えたというおときさん。答えはほかならぬ“さかさ思考”だ。 「元気というのは、必ずしも身体的なことだけでなく、その人がこれまで生きてきた中で、どのような人生を選択し、どのように乗り越えてきたか。そういった生き方そのものが、影響してくると思っているの。つまり、気持ちの問題がとても大きいんですよ」 さかさ思考は長生きの秘訣でもあるのだろうか。 「医学的にはわからないけど、精神的な部分では、“私はもう年だから”と、考えないようになるじゃないですか。笑いながら発想や視点を変えることで、脳を喜ばせて元気になればいいんです」 人生100年まで、あと20年……。 「まだ10年ぐらいは人生楽しめると思うので、次は91歳のときに、19歳になったつもりでまたリスタートしようかな(笑)。10年かかって1歳だから、成長はほとんど止まっているけど、その分、1歳しか年を取らないからいいかもね」 おときさんは、今日も常識をひっくり返しながら、元気いっぱいにわが道を行く――。
「女性自身」2024年11月12日・11月19日合併号