ナイキ厚底シューズの使用禁止報道を巡り騒動。世界記録保持者キプチョゲは「テクノロジーの進化を享受すべき」と反論
マラソンや箱根駅伝で次々と好記録を生み出しているナイキ社の厚底シューズ「ヴェイパーフライ」が、世界陸連によって使用禁止となる可能性を一部の海外メディアが報じたが、「禁止にはならない」との報道や、男子マラソンの世界記録保持者、エリウド・キプチョゲの反論コメントなども出て、東京五輪を前に大騒動へと発展している。 ナイキの厚底シューズが使用禁止になる方向性を伝えたのは、英国の「テレグラフ」、「タイムズ」、「デイリーメール」、専門メディアの「ランナーズ・ワールド」など。 テレグラフ紙は、「スクープ」だと強調して「キプチョゲは、ナイキ・ヴェイパーフライはフェアなものと主張するが、世界陸連は使用禁止へ着手」との見出しを取って、世界陸連が、同シューズの調査の専門委員会を招集、まもなくプロの競技会での同シューズの使用禁止を発表すると報じた。 同記事は、昨年10月のシカゴマラソンでブリジット・コスゲイ(ケニア)が厚底でカーボンプレートが組み込まれた「ヴェイパーフライ・ネクスト%」のシューズを使用して2時間14分4秒の女子マラソン世界記録をマークし、ポーラ・ラドクリフの持っていた世界記録を16年ぶりに更新したことに注目。「研究ではこれらのシューズがその他のレース用シューズに比べて走力効率で4%のアップが見込まれることが分かっている」と断言した。 また世界記録保持者のキプチョゲが、厚底シューズを履いて、2時間切りに挑戦する非公式レースで人類として初めて2時間を切る1時間59分40秒(非公認記録)をマークしているが、これについても「調査委員会は、キプチョゲが履いたナイキ最新のヴェイパーフライとなるアルファフライのプロトタイプ版では、その効力が倍増している可能性があると指摘している」と断じた。 同紙は、キプチョゲの「ナイキシューズは『フェア』なもので、スポーツ界はテクノロジーの進化を享受すべき」との反論も掲載。 デイリーメール紙も「F1ではすべての車はピレリのタイヤを使用しているが、メルセデスが最強だ。なぜ?それはエンジン、人によるものだ」との主張を掲載した。 ニューヨークタイムズ紙の調べによると、昨年のマラソンで3時間以内に走り切った走者の40%以上がヴェイパーフライ4%かネクスト%を着用していたそうである。