ナイキ厚底シューズの使用禁止報道を巡り騒動。世界記録保持者キプチョゲは「テクノロジーの進化を享受すべき」と反論
さらにデイリーメール紙によると、ナイキ製シューズには、バネの効果で推進力を高めるためにカーボンファイバープレートが埋め込まれており、「足を踏み出す際に、つま先よりもかかとを主に使う人にとっては、健康面で長期的な影響を及ぼす懸念もある」との指摘も。ただ超厚底でありながら27.5センチのサイズのシューズでも重さが190グラムと「信じられないほどの軽量を維持している」という。 また短距離選手用に開発されているスパイクや、昨年バーミンガムで女子室内1マイル(1600メートル)を4分18秒75で走って英国記録を作ったローラ・ミュア着用のシューズも使用禁止の対象になるという。 一方で、「革新的なマラソンタイムをもたらしたナイキシューズは禁止されないようだ」と反対の報道をしたのが、英国の高級紙であるガーディアン紙だ。 同紙は、「ナイキシューズの調査を行っている世界陸連の専門委員会は、まだカーボンプレートや、フォーム技術に何の制限を設けるかを慎重に検討しており、大規模な使用禁止にはならなそうだ」と伝えた。世界陸連は、今月末までに調査結果を発表する方向だが、「複数の関係者は、シューズ使用禁止問題については、まだ討論が続けられることを示唆している」と明かした。 「(調査の)グループが強調するのは、ヴェイパーフライシューズを完全に禁止にするよりも2016年に初めて具現化されたテクノロジーの将来的な影響を制限することにある。その制限として考えられている1つとしては、キプチョゲが、ウィーンで行われた非公式レースで2時間を切った際に着用したアルファフライシューズの次世代となるすべてのシューズで中底フォームのサイズを制限するといったものがある」とも記された。 また「昨年のトラック競技でローラ・ミュアのスパイクに力を与えた類似したシューズテクノロジーについても指摘がある。だが、彼女に近い複数関係者は、この問題はカテゴリー的に異なると話している」とも指摘した。 先の箱根駅伝でも優勝した青学大をはじめ、8割以上の選手が使用して「区間賞」を連発したナイキの“魔法のシューズ“だが、禁止か、一部制限か、東京五輪を前に、その是非に対する答えが世界陸連から正式に出されることになりそうだ。