「きっかけは奥田民生さん」「僕の中では終わっている。あれで完結」縦から横へ、進化の秘密を語る。
ブレイクのきっかけは奥田民生さん
ところが、2012年ごろになって、スタッガーワイドが突然注目されることになる。きっかけはなんと、ミュージシャンの奥田民生さんだった。 吉田「真夏の琵琶湖で奥田民生さんと一緒に釣りをしていたのですが、暑すぎて全然釣れなかったんですよ。1匹釣るのもしんどいくらい。でも、ワイドの4inを投げてる民生さんだけ釣るんですよ。僕がワイド4inを使っても全然釣れない。『なんのリグで釣ってるんですか?』って聞いたらこんな小さいラバージグ。それがアベラバだった。僕のは落とすと普通にスーッと落ちていくんですが、民生さんのはスパイラルフォールしたんですよ」 それをきっかけに琵琶湖の大会のヒットルアーになったりもして、ワゴンセールだったスタッガーワイドが一気に売れ出したという。また、2014年にJBトップ50の桧原湖戦にて、スタッガーワイドツインテール4inを使った吉田さんが優勝したことでも人気に拍車がかかった。 吉田「プラのときにツインテールのサイズ展開のテストもしていて、小さい順からずっと試していったんです。すると、小さいのも釣れるんですけど、バイト数はデカくするほど増えていきました。プラのときに『琵琶湖だったらこれで釣れるんやけど…』って同行者に説明しながら4inを投げたらラージの58cmも釣れてね。ジグにトレーラーフックをつけたらスモールもびっくりするくらい釣れるようになった」 その後、スモールマウスでもワイドの4inというサイズ感が定着し、爆発的に売れたという。 では最後に吉田さんが今思う、ギル系ワームの進化系とは? 吉田「もう、ワイドの進化版は思いつかないです。やり切った感があるので。各社がたくさんやっているし、まだやり方はあるかもしれないけど、僕の中ではワイドは終わっている。あれで完結です」
吉田秀雄(よしだ・ひでお)
1972年、京都府生まれ。トーナメンターとしてだけでなく、ルアービルダーとしても卓越した才能を持つ。ライズバッカー、ブルーザー(スタッガー)、スタッガーワイド、コイケシリーズなど、名作を多数輩出してきた。バサーオールスタークラシックは2度優勝している。