【堂本光一 コンマ一秒の恍惚Web】サーキットでもドラマでも、チャンピオンの偉大さを感じました
■ワークス勢を打ち破り、快挙を達成したマクラーレン マクラーレンは、1998年以来となる26年振りのコンストラクターズ・チャンピオンに輝きました。ミカ・ハッキネン選手やルイス・ハミルトン選手が所属した2000年代から2010年代の前半にかけて優勝を何度もしていたので、「そんなに時間がかかったんだ」というのが正直な感想です。 複雑なPUを搭載したマシンで競われる現代のF1で、カスタマーのマクラーレンがレッドブルやフェラーリ、メルセデスといたワークス勢を打ち破ってチャンピオンになるというのは快挙です。 もちろん2022年から現行PUの開発が凍結されて、ワークスとカスタマーにそこまでの性能差がないにしても、カスタマーがタイトルを獲得するのは2010年にルノーエンジンを搭載していたレッドブル以来のこと。マクラーレンは今シーズン、とてつもないことをやり遂げました。 フェラーリはコンストラクターズ・ランキング2位に終わりましたが、シーズン後半はとても安定していました。アブダビではシャルル・ルクレール選手が魅せました。最後尾スタートでしたが、オープニングラップで一気に8位まで浮上! その後も安定したペースで走り、3位でフィニッシュします。 サインツ選手も2位に入り、ダブル表彰台を獲得したフェラーリはコンストラクターズ選手権でレッドブルを上回り、マクラーレンと14点差のランキング2位という結果でシーズンを終えました。2025年はサインツ選手に代わってハミルトン選手が新たに加入します。7度の世界チャンピオンが加わった新生フェラーリがどんな戦いを見せるのか。今からすごく楽しみですね。
■角田選手のレッドブル昇格は実現せず 参戦4年目となった角田君は今シーズン、われわれファンを十分に楽しませてくれました。チームメイトになったダニエル・リカルド選手とリアム・ローソン選手のふたりを上回る成績を残し、100点満点のシーズンだったと思います。 ただ、シーズン終盤は苦戦していました。ライバルのアルピーヌやハースの競争力が上がり、ビザ・キャッシュアップRB(VCARB)はマシン的には非常に厳しかった。そんな中でも、角田選手はマシンのポテンシャルをすべて出し切って、やれることをすべてやったと思います。 角田選手は最終戦のアブダビGPが終わった後に行われたテストでレッドブルのマシンをドライブしました。テスト走行ではトラブルもなく、いい走りができたようですし、「レッドブルのマシンは自分のドライビングスタイルに合っていると思う」と角田選手はコメントしていました。 レッドブル昇格のニュースが届かないかとワクワクしていたのですが、レッドブルはセルジオ・ペレス選手がチームを離脱し、25年シーズンはフェルスタッペン選手のパートナーとしてローソン選手が就任すると発表しました。角田選手はVCARBに残留することになりましたが、来シーズンもこれまでと変わらない走りをしてほしいです。 2025年は現行のマシンレギュレーションで戦われる最後のシーズンになりますが、誰と組んでも、チームメイトを上回る成績を残し、実力を示すことができれば、いろんなチームが角田選手に興味を持つはずです。 それにレッドブル昇格が正しい道とは、必ずしも言えないところがあります。これまでレッドブルのマシンの設計を手掛けてきた最高技術責任者のエイドリアン・ニューウェイがチームを去り、ホンダとの協力関係も2026年シーズン限りで終わります。レッドブルは自分たちでPUをつくることになりますが、先行きは不安な面もあります。 来年もVCARBで活躍してもらって、新しいレギュレーションが導入される2026年以降はホンダのPUが搭載されるアストンマーティンで走ってくれたらいいなあ......と勝手に思っています(笑)。