【オートレース】多芸な岩見貴史はまな弟子の面倒見も全力疾走~飯塚G1開設68周年レース
◆開設68周年記念レース(G1、13日・初日、飯塚オートレース場) 今から20年前に29期生としてデビューした岩見貴史がいよいよ先生となる。現在、選手養成を受け、来年デビュー予定の38期生の師匠を務めることになった。 大会中も時間を見つけては選手たちのところへ弟子を連れ沿って「来年デビューする竹尾竜星です。どうぞよろしくお願いします」と頭を下げ、紹介していた。 「弟子の紹介がていねいで上手だった!? 何か外の世界でも自分はやっていけるんじゃないかと思いました(笑い)。まあ、選手たちにかわいがってもらいたいですし、ちゃんと紹介はしてあげないとね」 業界を盛り上げたい気持ちが特に強い岩見は、将来のオートレースを思ってこう言う。「もう今さらね、自分たちみたいなベテランが急に10人のファンを増やすことって難しいと思うんですよね。だから、新人なんです。若い子にはその可能性がたくさんありますからね。最近は一年置きに新人を採用していますが、それってすごくいいことだと思うんです。自分にとっては大変なことですよ。だって、どんどん若い選手は強くなりますからね。自分の首は絞められちゃいそうですが、業界を考えればいいことだと思っています」 岩見は人間としての技能引き出しがやたら多い。ただコースで疾走するだけでなく、時に選手会の雑務をこなし、ファンを楽しませるイベント系の運営にも率先して参加している。 そして、やるべきことが増えていくたびに、多芸を誇る男は本職のレーサーとしての成績を高め続けてきた。「師匠になるので、上ブレできなくても、せめて下ブレだけはしないようにしたいですね。とか言いながら初日のレースは全然だめ(6着)だったし(苦笑い)。地元の雨でここまで負けるのってあまりないですよ。まあまあショックです(苦笑い)。しかも、勝ったのがタイガー(同期で仲のいい田中正樹)だし~。マジ、腹立つわ~(笑い)」 実は竹尾候補生を受け持つことになったのは、岩見の“逆指名”で実現した。「僕はお酒を飲みませんからね。彼も飲まないので。ほらっ、あっちが飲んで、こっちが飲まないだと雰囲気も変わったり、話もしにくくなっちゃうことがあるので。あとは、先に帆景(岬、2023年デビュー)がグループに入ってきたので、アニキ役はやっていたので、その経験を師匠の役に生かせたらなって思っています。二人の性格も違いますからね」 というか岩見さん、本当によく考えているわあ。話を聞いていて、こういう人と一緒に仕事がしたいなあって思いました。 そして、今年最後の地元G1である。2024年の大きな目標にしていたスーパースター王座決定戦へのエントリーは叶わなかったが、ホームグレードで結果を叩き出して、来年へのエネルギーにしたい。「もう初日から惨敗しちゃって、しかも一番試走だったし、お客さんにも迷惑をかけちゃいましたからね。というわけでシリンダーとピストンを交換してみました。これで変わってほしいです。地元G1への思いはもちろんあります。この前も施行の方から“タイトル流出してばかりだね”と激励されました。地元のタイトルを守ることができるよう頑張ります。まだ弟子に生の1着も見せていなので!」 最後に師匠の横で取材を見つめていた竹尾候補生に言っておきました。「取材でここまでナイストークを披露できる選手はいませんよ。これが普通だと思わなくて大丈夫です。ここまでのレベルは目指さなくて全然大丈夫ですから」と。 お弟子さん、ひたすら苦笑いでした。最高の師匠の元でスクスクと元気良く成長してください。 (淡路 哲雄)
報知新聞社