「兵庫県警はあまりに腐っている」泣いて訴えた機動隊員は、24歳でなぜ死んだのか パワハラを認めさせるまで8年半、両親の長すぎる闘い
▽「裸踊り」の強要 T以外の上司らの行為も明らかになった。 (1)所属部隊の隊長が率いる綱引きチームがあり、自主的な朝練のはずなのに、参加が少ない大地さんに罰としてスクワットを命じた (2)その隊長は、実家の玉ねぎ収穫のために大地さんら若手を呼び出した。大地さんらは友人の結婚式の二次会を断って収穫に参加していた (3)2015年7月~8月に福井県へ派遣された際の夜の宴会で「裸踊り」を強要された 大地さんにとっては、「裸踊り」がこたえたらしい。この当時、婚約者へ悩みを打ち明けるメッセージを送っている。裁判では、この時期にうつ病を発症したと認定されている。 2015年8月以降は、大地さんの行動に異変がみられるようになった。 婚約者の証言によると、8月26日の一仁さんの誕生日に、母は大地さんに電話をしたが、大地さんは言葉に詰まった。職場での失望や、人間関係で限界に達していて、自殺しようと思っていたところだった、と婚約者は後に打ち明けられている。電話のおかげで自殺を思いとどまったという。
Tの行為はその後も続いていた。10月6日朝。訓練へ向かおうとする大地さんを見かけたTは一方的に激高し、カンニングを認めるよう執拗に怒鳴り、迫り続けた。大地さんは、このTの行為について同僚にメッセージを送って寮の自室へ戻り、亡くなった。 ▽先輩「T」の言い分 兵庫県警はTを計4回、約3時間半にわたって聴取している。 厳しく指導する理由を問われたTは、次のように語った。 「機動隊を良くするために(自ら)悪者に徹しようと考えた」 「細かいミスの積み重ねが大きな事故につながると考えているから」 「ミスが多い人間はダメな人間という印象を持っており、人間性を測る尺度になっている」 木戸さんについてはこう語っている。 「何度指摘しても直らない、まったく反省していないのか、同じミスをくり返していた」 「木戸にだけ厳しく怒っていたのではなく、誰に対しても同じように怒っていた」