香取台中の新設見直し 2校を小規模特認校に つくば市
新たな学校適正配置計画方針まとまる
茨城県つくば市立小中学校や幼稚園などの規模や配置を今後どうするかについて、2024年度から10年間の指針を示す同市学校適正配置計画案の概要が、このほど開かれた市学校審議会(会長・藤井穂高筑波大教授)でまとまった。5年前は「新設を検討する」としていた香取台中学校の新設を見直すほか、児童数が少ない谷田部南小学校と今後減少が見込まれる栗原小の2校を、通学区に関係なく市内どこからでも通学できる小規模特認校にするなどの方針が示された。 計画は5年ごとに見直しを実施している。今回の新たな計画案は来年1~2月にパブリックコメントを実施した上で、3月までに決定する。同市は、つくばエクスプレス沿線開発により子供の数が増加している。 香取台中は前回2020年3月策定の同計画で、2029~38年度に「高山中学校から学区の分割を検討し香取台地区中学校の新設を検討新設する」としていた。新設場所は、児童数の増加に伴ってつくばエクスプレス(TX)万博記念公園駅近くに23年4月に開校した香取台小の隣接地だった。新しい計画案では、香取台中を新設しないと、通学区にある高山中が29年度に1教室、35年度に12教室不足すると見込まれるが、高山中隣接の県有地1.5ヘクタールを購入し校舎を増築するので対応可能だなどとしている。 一方、TX沿線開発の土地利用計画で中学校用地とされている香取台小の隣接地については、市が用地を購入し、一部を香取台小の拡張用地とするとしている。購入する残りの用地は公益施設用地として利用方針を検討中という。 小規模特認校については、谷田部南小は複式学級化が見込まれること、栗原小は中根・金田台地区に新設が予定されている小学校が2026年に開校すると複式学級化が見込まれるとして、いずれも26年度から、少人数を生かし特色ある教育をする小規模特認校とする。県内には水戸市と阿見町に小規模特認校の小学校、牛久市に同義務教育学校がある。 同審議会ではほかに、今後教室不足が想定される学校の対応として▽要小は2029年度に2教室不足すると見込まれることからリース校舎を増設する▽谷田部小は29年度に1教室、32年度に6教室不足することからリース校舎で対応する ▽島名小は29年度に2教室、32年度に8教室不足することから、通学区を見直し島名小区の一部を香取台小区に変更し、香取台小北側県有地(中学校予定地)を購入して一部に校舎を増築する▽手代木中は34年度に1教室、35年度に1教室不足するが既存校舎の教室転用で対応する ▽みどりの南中は、28年度に3教室、32年度に8教室不足し、当初校舎の増築が予定されていたが増築を行わず、既存校舎の教室の転用と、併設されているみどりの南小校舎教室の相互利用で対応する ▽吾妻小は、吾妻2丁目の70街区と90街区の公務員宿舎跡地の売却が決定しており、28年度ごろから新築マンションなどへの入居開始、30年度ごろから教室不足が想定され、同小の増築などの対応を検討しているが、開発計画が未定のため新しい計画には教室不足などは盛り込まないーなどとした。 ほかに、新たに市立幼稚園の配置方針の項目を設け「全15園中8園で定員半数以下となっており適正規模とはいえない」などの文言を盛り込む。 一方審議会では委員から、香取台中の新設見直しについて「区画整理事業の土地利用計画と齟齬(そご)が生じる。大きな計画変更になり、近隣住民にはものすごいインパクトになる。丁寧に説明してほしい」、市立幼稚園については「なぜ園児数が少ないかは、3歳児クラスがないから私立に流れている。私立はバスで送迎もする。(幼稚園と保育所を一元化する)幼保一体をまず進めるべき」などの意見が出された。(鈴木宏子)