開発に10年、ユニクロが力を注ぐ高機能アウター「パフテック」は何がすごいのか
ーパフテックの特長を教えてください。 とにかく軽くて暖かい。中綿が少量でも十分暖かいので、シルエットがモコモコしません。そのため、着ぶくれせず、脱ぎ着もしやすい。また、軽量でかさばりにくいので、コンパクトに畳んで持ち運びやすいというメリットもあります。 水や湿気に強いのも特長です。雨や霧など、湿度90%以上の環境下でも保温性が下がりにくいという特性を持っているうえ、表地にも撥水加工を施しているので、急な小雨にも対応できます。 また、通常の羽毛に比べ速く乾くこともあり、家庭で洗濯することができます。
ダウンジャケットに発生する綿抜けの問題をクリア
ーUNIQLOには、すでに「ウルトラライトダウン」という大ヒット作があります。パフテックはどこが違うのでしょうか? 2009年にデビューしたウルトラライトダウンは、従来のアウトドアダウンの厚くて重いイメージを覆し、驚異的な軽さとスリムなデザインによって、ダウンジャケットを都会的なデイリーウエアへと昇華させました。爆発的な売れ行きを記録したダウンジャケットは、その後も進化を続け、現在も世界各国で支持を得ています。
ウルトラライトダウンはUNIQLOの冬を代表する名品ですが、クリアすべき課題もありました。このダウンジャケットをご愛用いただいているお客様から、「中に着用したセーターに羽毛がつく」というお声をいただいていたんです。この原因はキルトから羽毛が抜けてしまう綿抜けという現象によるもの。 しかし、粒状の構造を持つパフテックには、綿抜けがしにくいという特性もあって、この課題をクリアすることができました。
ーデザインも多彩ですね。 はい。綿抜けのしにくさはデザイン面にもメリットがありました。ダウンジャケットのデザインは、羽毛を外に出にくくするために、キルトを横長のかたちにすることが多かったのですが、パフテックはもともと綿抜けがしにくいため、ダイヤモンドやブロック、ノンキルトなど、さまざまなデザインが可能になったんです。