【問題は大きさか】米国で新型ムラーノ登場!! 日本市場復活の可能性はあるのか?
■ムラーノ日本撤退は、大きすぎるボディサイズと燃費の悪さが要因だった
と、なんとも魅力的な新型ムラーノですが、日本に導入されるためには、2代目をもって日本市場から撤退した背景を振り返る必要があります。 ムラーノは初代モデルが北米で高く評価されたことで、2代目以降は北米ユーザーの需要により合わせたモデルに進化しました。ボディサイズがより大きくなり、全長4845mm、全幅1885mm、全高1700mmという、立派なボディサイズとなったのです。 ただ、特に1885mmという全幅は、日本で運転するには大きすぎ、しかもフロント端がスラント形状であったため、クルマの4隅の見切りが非常に悪く、道路事情の狭い日本ではかなり運転がしづらいものがありました。 また、加速のよさを重視した3.5L V6エンジンが搭載されていたことで、燃費の悪さもネックでした。2代目より改善された先代3代目ムラーノでも、北米基準で、市街地走行20MPG(約8.5km/L)、高速走行28MPG(約11.9km/L)、市街地と高速走行の複合モードで23MPG(約9.8km/L)。日本市場には2.5Lエンジンもありましたが、ボディの大きいムラーノを動かすにはやや非力であったことで燃費はよくなく、ハイブリッドSUVが走る日本市場では、戦うに値しないレベルでした。
■日本市場に導入されるためには、新たにe-POWERを開発し、ボディサイズを小さくする必要が
新型ムラーノが日本に導入されるためには、日本でも走りやすいボディサイズと日本で戦える燃費水準の2つをクリアしなければなりませんが、残念ながら、公開されている新型ムラーノのボディサイズは、全長192.9インチ(約4900mm)×全幅78.0インチ(約1981mm)×全高67.9インチ(約1725mm)とかなりの大型車。 とくに全幅は2代目より大きかった3代目よりもさらに2.6インチ(約66mm)も拡大してしまいました。パワートレインも、前述したように2.0L直4 VCターボと、排気量は抑えられたものの、国内エクストレイルにある1.5L VCターボe-POWERのようなハイブリッドユニットは現時点発表されていません。 エクストレイルよりもひと回り大きなボディサイズのムラーノにエクストレイルと同じ1.5L VCターボe-POWERでは、動力性能が見劣りしてしまうため、新型ムラーノにe-POWERを搭載するのではあれば新たに開発をする必要があり、ボディサイズも、日本市場向けにボディサイズを小さく(1850mm以内には)したいところ。これらが実現可能かどうかが、日本でも新型ムラーノが活躍できるための争点となります。
■まとめ
スタイリッシュで迫力あるサイズ感の新型ムラーノは、SUVが主流のいまこそ日本市場にも欲しいモデルではありますが、e-POWERの開発もボディサイズの縮小もコストがかかりすぎるため、日本導入の可能性は低いと考えざるを得ません。 しかしながら、先代モデル以上にスタイリッシュで魅力的な新型ムラーノは、ぜひとも日本を走る姿を見てみたいもの。台数限定でいいので、北米の2.0L のVCターボエンジンのまま、導入してほしいな、と思います。 Text:吉川賢一 Photo:日産自動車