需要減退でビットコインは一時5万9000ドル割れ──ブラックロックのIBITが2度目の資金流出
先週の上昇の後、利益確定売りが続いたことで、ビットコイン(BTC)は8月30日の早朝に5万9000ドルを下回るまで1週間下落を続け、主要なビットコイン現物ETF(上場投資信託)は需要減退の兆候の中、純流出を記録した。 CoinGeckoのデータによると、BTCは過去24時間で1%強の損失となり、週間の損失は3.5%を超え、8月を8%のマイナスで終わる勢いだ。全体的なビットコイン需要の伸びは依然として低く、ここ数週間はマイナスに転じている。 SoSoValueのデータによると、アメリカのビットコイン現物ETFは8月29日、3日連続となる7100万ドル(約103億円、1ドル=145円換算)の純流出を記録し、プロの資金が市場を離れていることを示している。 29日に最も損失を出したのは、フィデリティ(Fidelity)のFBTCで3100万ドル(約45億円)の流出。グレイスケール(Grayscale)のGBTCも2200万ドル(約32億円)の流出だった。しかし、トレーダーにとって衝撃的な動きは、ブラックロック(BlackRock)のIBIT(運用資産で世界最大のビットコインファンド)が、過去2回目となる1300万ドル(約18億8500万円)の資金流出を記録したことだった。 一方、オンチェーン分析会社のCryptoQuantは29日の報告書で、暗号資産(仮想通貨)取引所のコインベース(Coinbase)におけるビットコイン価格プレミアムが7月以来の高水準に上昇したことから、アメリカの個人投資家の需要が高まっていることを示していると述べた。 さらに、ビットコインはアメリカ国外の取引所からコインベースに再び流入しており、これはアメリカの投資家の需要が高まっていることを示すシグナルであり、歴史的に価格上昇と相関している。 一方、トレーダーは、今後数週間で市場のボラティリティが上昇すると予想している。BTCは、利下げシグナルや共和党大統領候補ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏の支持にもかかわらず、過去1週間はほぼ横ばいで推移しており、これが暗号資産市場全体のセンチメントに影響を与えている。 SOFAのインサイト責任者オーガスティン・ファン(Augustine Fan)氏はは、顧客向けの週次のメモで「暗号資産は、BTCとETHが先週の水準と比較して+/- 1.5%前後で推移し、平穏な1週間だった。ETFの流入は依然として低調だ」と述べた。 「アメリカのレイバーデー以降は、来週の非農業部門雇用者数(NFP)で市場の動きが活発化し、忙しい秋シーズンの幕開けとなると予想している。また、ハリス/ウォルツ陣営が最近発表した積極的な増税計画により、政治のニュースが重要性を増し始めるだろう」。 これは、シンガポールを拠点とするQCPキャピタル(QCP Capital)のトレーダーも同様の見解で、彼らはテレグラムのブロードキャストで、市場のボラティリティが続く可能性があるとしても、価格変動は不安定なままになると予想していると述べた。 「10月までのリスクリバーサルは依然としてBTCとETHの両方でプットに偏っており、市場が引き続き下振れに慎重であることを示している」とQCPは述べた。「来週の非農業部門雇用者数(NFP)報告に向けて、市場は連邦準備制度理事会(FRB)による利下げの可能性に備え、市場のボラティリティは引き続き下降傾向にあると予想している」。 FRBのジェローム・パウエル(Jerome Powell)議長は、以前に報道されたように、9月の金利引き下げへの転換を認めた。このような措置は歴史的に、安価な資金へのアクセスがリスクの高いセクターの成長を加速させるため、トレーダーの間で強気の感情を後押ししてきた。 「短期的には触媒がないため、9月に入ると価格はレンジ内で下落し続けると予想している」とQCPは付け加えた。 |翻訳:CoinDesk JAPAN|編集:井上俊彦|画像:Shutterstock|原文:Bitcoin Drops Under $59K as BTC Demand Wanes, BlackRock’s IBIT Logs Outflows for the Second Time
CoinDesk Japan 編集部