E28「5シリーズ」にE34「M5」のエンジンを換装! 多くのBMW専門誌で紹介されたサーキットスペシャルの実際の価値はおいくら?
サーキットにおける機能は並外れたレベルに仕上がっている
もちろん現在では、たとえイギリス国内であっても公道走行は認められないレーシングスペックとなっており、公道での合法性には欠けるものの、サーキットにおける機能は並外れたレベル。そして力強さと見事なルックスが見事に融合している。 エクステリアでは、カーボンファイバー製のボンネットとトランクリッド、グループ5仕様のアーチ、オールステンレス製パネルが装備されている。いっぽう足まわりではGAZ社製コイルオーバー、E34 M5用LSDも装備。ワグナー・チューニング社製「ET11」の巨大な2ピースアロイホイール(フロント9.5J×16、リア10.5J×16)には、前245/45-16と後265/45-16のレーシングタイヤが装着され、グリップとトラクションは驚異的なものと主張されていた。 さらに特筆すべきは、2003年のシルバーストーン「BARC選手権レースデー」プログラムの表紙を飾り、『Total BMW』誌の2004年8月号と『BMW Car Magazine』誌の2017年3月号にも登場したこと。また近年でも2023年1月発売の『Total BMW』誌では、5ページにわたって特集が組まれ、ハイパフォーマンスカーの世界でも傑出した存在であることが証明されたという。
やはり確かな出自は、マーケットでは高値の必須条件となる……?
この夏、アイコニック・オークショネアーズ社の「Silverstone」オークションに出品されたE28系レーシングM5仕様車は、英国「Classic Touring Car Racing Club」主催のクラシック・ツーリングカーレース選手権「クラシック・サンダー・カーズ」の「トップA2(3601cc以上)」クラスのレギュレーションに準拠してモディファイされたもの。 E34系M5後期型からコンバートした「BMW M」社製S38型エンジンとギアボックスが搭載され、カスタムメイドのステンレススチール製エキゾーストシステムにくわえて、アップグレードされたエンジンマネージメントシステムにより、6900rpmのレッドライン近辺で発生する出力は360bhpに達するものと思われる。 また「EBCオレンジスタッフ」パッドを装着した750iL用ブレーキが減速を担当し、エンジン底部に設けられたアキュサンプ式オイルリザーバーがサージを防ぐ。 そしてエクステリアでは、この時代のドイツにおけるレースシーンを象徴するスポンサーカラー「イェーガーマイスター(Jägermeister)」のリバリーが、このクルマの本質を完璧に表現するとともに、視覚的にも魅力的なものとなっている。 いっぽうインテリアではマルチポイント式のロールケージ、アルカンターラ・フロック仕上げのカスタムダッシュパネル、「DigiDash 2」ディスプレイ、MOMO社製ステアリングホイール、6点式TRSハーネスつきの英「コルビュー」製バケットシートなどが、ともすれば即興的になりがちなレーシングカーとしては例外的に良好なフィニッシュで仕上げられている。
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