今井正人・柏原竜二・神野大地…箱根路の歴史に刻まれた「山の神」、近年の5区は記録ラッシュに
第101回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)が2025年1月2、3日に行われる。往路の注目の一つが5区の「山登り」だ。 【写真特集】箱根駅伝予選会
日本陸上競技連盟公認の長距離競走路では、スタートとフィニッシュの2点間の標高差は1000分の1以内(1キロあたり1メートルを超えてはならない)と決められている。それを考えれば、20キロ余りで800メートルの高低差がある箱根駅伝の5区が、いかに過酷であるかがわかる。小田原中継所から箱根の芦ノ湖までの20・8キロで繰り広げられる5区は、幾多のドラマ、そして数々の名選手を生み出してきた。
山登りのスペシャリストとして最初に名をはせたのは、大久保初男さん(大東文化大)だ。第51、53回大会で区間新記録を樹立するなど、第50回大会から4年連続で区間賞を獲得し、「山の大東大」の先駆者となった。
1980年代は第59~62回大会の木下哲彦さん(早稲田大、現姓は金)、90年代は第66~69回大会の奈良修さん(大東文化大)が輝いた。
そして、過酷な坂を大逆転の舞台に変えて、「山の神」と言う言葉が知られるきっかけとなった選手が今井正人さん(順天堂大)だ。1年生では花の2区を走り、2年生だった81回大会(2005年)では現在とほぼ同じ距離の20・9キロの5区で11人抜きの快走をみせ、1時間09分12秒という驚異的なタイムをたたき出した。
5区が現在よりも2・6キロ長い23・4キロだった時代、4年連続で区間賞を獲得したのが、柏原竜二さん(東洋大)だ。1年生だった第85回大会(09年)に8人抜きの区間新で箱根デビューを飾ると、2年生でも区間新、4年生の時には1時間16分39秒の区間新記録でチームを4年間で3度の総合優勝(完全優勝2度)に導いた。
今井さん、柏原さんに続いて「山の神」と言われたのが、神野大地さん(青山学院大)だ。3年生の時の2015年、91回大会(23・2キロ)では、驚異的なスピードで46秒差あった前の走者を抜き去り、1時間16分15秒のタイムでチーム初の総合優勝(完全優勝)に貢献した。翌年も区間2位の記録でチームは2年連続の完全優勝、神野さんは「常勝青学大」の象徴となった。