届いたスマホに「貴金属店で金購入を」「玄関に並べて」 3930万円詐取される 山形市
山形市で約3540万円分の金地金がだまし取られる特殊詐欺事件が起きた。その後、振り込んだ現金390万円と合わせて、被害額は計3930万円にのぼる。山形県警によると、全国的に現金のほか、金地金を購入させてだまし取る被害が起きているという。 【写真でみる】「汚い金の調査をするため…」ニセの査察調査一時預かり証明書 ■逮捕状の写真送られる 県警特殊詐欺対策強化推進本部によると、11月4日、山形市内に住む60代の男性のスマートフォンに「+1844」から始まる電話があり、男性が出ると、自動音声ガイダンスが流れ、「総合通信基盤局」と名乗る女から「あなたの携帯電話は2時間以内に使用停止になります」と告げられた。 電話は山口県警の「サカイ」を名乗る男に代わり、「あなたの携帯電話は不正使用されている」「○○という人物を知っているか」「あなた名義の口座が作られており、○○の犯罪に利用されている」「あなたも犯罪に関わっており、重要参考人として名前が挙がっている」と一方的に通告された。 その後、上司の「マツモト」という男に代わり、「検察が逮捕しようとしている」「身の潔白を証明するために協力してほしい」「口座のお金を調べる」と告げられたうえ、「LINEは使えるか」と聞かれた。男性が「使えない」と言うと、「これから捜査用の携帯電話を送る」と言って電話は切れた。 2日後の6日、スマートフォン1台が届き、7日にアカウント名「マツモト」からビデオ電話で「逮捕状が出ている」「あなたの口座のお金が汚いお金でないことを証明するため、口座番号や残高を教えてほしい」と言われた。 男性は身に覚えがまったくなかったが、「逮捕状」の写真が送られてきたことから、残高を伝えた。 「マツモト」は「紙幣番号を調べるが時間がかかる」「金に換えれば時間がかからない。11月末にはお返しする」「宮城県にある貴金属店で2・4キロの金を購入してください」と言われ、男性は「身の潔白を証明したい」と思い、8日に金地金2・4キロを約3540万円で購入した。 9日にLINEのビデオ通話がかかり、「これから金を受け取りに行く」「購入した金を玄関に並べてください」と言われたため、指示通り玄関前に並べた。しばらくして玄関前を見ると、金がなくなっていたため、男性捜査員が持って行ったと思ったという。