新海誠「秒速5センチメートル」SixTONES松村北斗が主演で実写映画化 監督は奥山由之
新海誠が手がけ、2007年に公開された劇場アニメーション「秒速5センチメートル」を原作とした実写映画の制作が決定。新海の監督作「すずめの戸締まり」にも参加した松村北斗(SixTONES)が映画初単独主演を務める。 【画像】「すずめの戸締まり」で初タッグを組んだ新海誠と松村北斗 劇場アニメーション「秒速5センチメートル」は、「ほしのこえ」「雲のむこう、約束の場所」に続く新海にとって3作目の商業公開作品で、“新海ワールドの原点”との呼び声の高い1本だ。これまで新海のアニメーションの実写映像化作品が公開されたことはなく、今回が初となる。 「すずめの戸締まり」ではオーディションで宗像草太役に選ばれた松村。実写映画への出演について、新海は「最も信頼する俳優である松村北斗くんに主演をつとめてもらえることにも、人生の不思議さを感じます」とコメントしている。松村は「僕自身、何度も見返してきた作品だからこそ、重責を日々感じています。この原作はたくさんの方の人生に深い影響を与えてきました。ファンの皆さんはそれぞれの解釈と世界を持っていて、僕もその一人です」と葛藤を明かしつつ、「新海さんから言っていただいた『北斗くんで見たいですね。』というお言葉がこのチームで挑戦する理由をくれました」と明かした。 実写映画の監督を務めるのは、映像監督・写真家として活動する奥山由之。「ポカリスエット」のコマーシャル映像や、米津玄師「感電」「KICK BACK」、星野源「創造」などのミュージックビデオで知られ、監督を務めたオムニバス長編映画「アット・ザ・ベンチ」の公開を11月15日に控える。奥山は「新海誠さんが当時33歳の時に紡ぎ上げていた物語を、いま33歳の僕が撮らせて頂くことに、ただの数字とはいえ、大切な巡り合わせを感じております。今しか作れないものがあるということ、いずれは忘れてしまう眼差しがあるということに気付かされながら『秒速5センチメートル』と向き合っている日々です」と意気込みを伝えた。 脚本は映画「愛に乱暴」「BISHU ~世界でいちばん優しい服~」やドラマ「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」の鈴木史子が担当。鈴木は「どの地点でこの作品と出会ったかによって違う切実さを感じる深遠な原作を前に、喜びと緊張を持って向き合わせていただきました」とつづった。 物語の主人公は遠野貴樹(とおのたかき)。小学生の頃に出会った転校生・篠原明里(しのはらあかり)と心を通わせた瑞々しい日々、小学校の卒業と同時に離ればなれになり種子島で過ごした高校生活、東京でシステムエンジニアとして働きながら漠然とした閉塞感と焦燥感を抱え過ごす30歳を手前にした青年期の、18年間にわたる人生の旅が描かれる。原作アニメーションは主人公の小中学生時代、高校生時代、会社員時代を3つの連作短編で描写した63分の作品だが、実写映画は原作者である新海との意見交換も経て作られた脚本をもとに、約2時間の長編映画として制作される。公開は2025年秋を予定。 ■ 新海誠(原作)コメント 私が二十年近く前に監督したアニメーション映画「秒速5センチメートル」は、とても未熟で未完成な作品でした。 しかしその未完成さ故に、今でも長く愛し続けてもらえている作品でもあります。 初期衝動──未知への憧れと畏れだけをただぶつけたあのような映画は、今の自分には決して作れないでしょうし、再現も出来ません。 ですから、奥山監督をはじめとした若く熱心なチームがふたたび「秒速5センチメートル」に向き合ってくれていることに、私はとても興奮しています。 最も信頼する俳優である松村北斗くんに主演をつとめてもらえることにも、人生の不思議さを感じます。 どうか、皆さんの今でしか作れない映画にしてください。 誰よりも完成を心待ちに、応援しています。 ■ 松村北斗(遠野貴樹役)コメント 僕自身、何度も見返してきた作品だからこそ、重責を日々感じています。 この原作はたくさんの方の人生に深い影響を与えてきました。ファンの皆さんはそれぞれの解釈と世界を持っていて、僕もその一人です。そんな作品の実写化に未熟な僕が参加するのかと一歩踏み出せないでいました。しかし、奥山監督をはじめとする製作陣の原作への憧れと愛。そして、新海さんから言っていただいた「北斗くんで見たいですね。」というお言葉がこのチームで挑戦する理由をくれました。 「秒速5センチメートル」に影響を受けて憧れてきた者が集まったチームで作る今回の作品。原作チーム、ファンの方への敬意を胸に挑ませていただきます。 ■ 奥山由之(監督)コメント 新海誠さんが当時33歳の時に紡ぎ上げていた物語を、いま33歳の僕が撮らせて頂くことに、ただの数字とはいえ、大切な巡り合わせを感じております。今しか作れないものがあるということ、いずれは忘れてしまう眼差しがあるということに気付かされながら「秒速5センチメートル」と向き合っている日々です。 どことない喪失感、焦燥感を抱える貴樹の背中に、温もりある手を添えるようにして、心から信頼するチームの皆さんと共に、1シーン1シーン、1秒1秒を丁寧に、切実さと誠実さをもって、真摯に撮り重ねたいと思います。 僕の中に残る「センチメンタル」をこの作品に全て置いていきますので、どうかご期待ください。 ■ 鈴木史子(脚本)コメント 新海誠監督の「秒速5センチメートル」を初めて観たのは20代の頃でした。チームの中には中学生や高校生で観たという方も多く、どの地点でこの作品と出会ったかによって違う切実さを感じる深遠な原作を前に、喜びと緊張を持って向き合わせていただきました。 人と人が近づいたり離れたりする巡り合わせのことを。とても真摯な奥山監督や信頼するスタッフ、誠実なキャストの皆さんとたくさんの対話を重ね、その時間のすべてを脚本に込めました。多くの方々の“今”に届くことを願っております。 ■ 玉井宏昌(プロデューサー)コメント 世界中で愛されている不朽の名作を実写化するという無謀な挑戦を受け入れてくださったばかりでなく、言葉を尽くしてのご助言をはじめ本プロジェクトを支えてくださっている新海誠様・コミックス・ウェーブ・フィルムの皆様に感謝申し上げます。映像監督・写真家としてフロントランナーである奥山由之監督、松村北斗さんと共演者の皆様、脚本、映像、音、デザイン、それぞれの専門領域において並外れた才能と技術、そして研ぎ澄まされた感性と美意識を持った方々が集結しています。公開までの続報も楽しみにしていただけたら幸いです。