阪神対DeNA　ベンチで厳しい表情を見せる岡田監督（中央）ら（撮影・上田博志）

＜セ・CSファーストステージ：阪神1－3DeNA＞◇第1戦◇12日◇甲子園 　阪神といえば、投手力を前面に押し出した「守りの野球」が最大のストロングポイントに挙げられる。 【写真】9 回裏、佐藤輝は3つ目の三振に倒れる 　CSファーストステージ第1戦の先発は、エース才木だった。中継ぎ陣が強力だとはいえ、やはりエースがどういうピッチングをして強力なDeNA打線を抑えるかが試合のポイントだと思っていた。しかし、才木は1点ビハインドの5回裏1死で代打を送られ、マウンドを降りた。 　ここでの交代は意外だった。才木はそれほど調子が良くなかったものの、5回1失点で球数は87球。5回裏に才木に打席が回ってくるが、DeNAのウイークポイントは中継ぎ陣。まだ5回であり、「投手を中心にした守りの野球」を考えるなら、才木をもう1イニングでも投げさせて反撃を待つ。シーズン終盤はやや調子を落としていたが、登板間隔は空いていたし、エースならそれほど焦る必要はないと思っていた。 　6回表のDeNA打線は、7番の左打者・森敬から始まる打順だった。左腕の桐敷が登板し、3者凡退に打ち取ったが、イニングまたぎになる7回表に1死一、三塁のピンチを作って降板。3番手の石井がオースティンに致命傷となる2点タイムリーを浴びてしまった。 　桐敷は今季4度のイニングまたぎをして無失点。シーズン通りの継投とも言えるが、シーズンと同じ戦いなら1失点の才木を5回で代える必要はない。短期決戦で惜しみなくリリーフを投入するつもりなら、前倒しにして他の投手に投げさせてもいいし、桐敷を投げさせるにしてもイニングまたぎをさせる必要はなかった。 　ただ、今試合の阪神打線で当たっていたのは森下ぐらい。内容が悪くないと思ったのも大山ぐらいだった。阪神打線の誇る1番近本と2番中野が2人で8打数1安打。5番に起用した佐藤輝は4打数無安打3三振。この3人が打てないと「早く1点を返して追いつきたい」という思いは強くなる。才木に代打を出して交代させるのは、打てなすぎる打線に原因があった可能性はある。それで「投手を中心にした守りの野球」に徹しきれなかったのかもしれない。 　ただ、9回にはDeNAの抑えの森原から1点を返した。近本、中野、佐藤輝は左打者で、DeNAの第2戦の先発は右のジャクソン。3人とも打てなくなると長いイメージがあるが、緊張感のあるポストシーズンでガラリと変わる可能性もある。 　阪神の第2戦の先発は安定感のある高橋。3戦目に先発すると思っていたが、初戦を落としたなら好都合だったという考え方もできる。見応えのある試合を期待している。（日刊スポーツ評論家）