日本航空に業務改善勧告 機長ら規定超え飲酒、口裏合わせも 国交省
日本航空(JAL)の機長と副機長が国際線の運航前日に社内規定値を超えるアルコール量を摂取し、同社に隠したまま運航業務にあたっていた問題で、国土交通省は27日、同社に行政指導にあたる業務改善勧告を出した。 同省やJALによると、2人は1日朝から豪州・メルボルン発成田行きのJL774便を運航する予定だった。運航前日、レストランで社内規定の約3倍のアルコール値に相当する酒を飲んだうえ、飲酒が規定値内だと装うよう口裏合わせをしていたという。 機長は早朝にホテルで行った自主検査でアルコールが検出されたが同社に報告せず、「体調不良」としてホテルを出る時間を遅らせていた。副機長もホテルや空港での自主検査でアルコールが検出されたが、飲酒の事実は伝えていなかった。 同社の規定では、メルボルン空港では乗務前の正規のアルコール検査を機長と副機長、乗員が一緒に行うことになっていたが、副機長はアルコールが検知されなくなるまで自主検査を続けており、乗員が個別に正規検査をしていた。機長と副機長は後の正規検査でアルコール値が無いことを確認してから運航したが、同便の出発は3時間11分遅れた。運航後、同社の聞き取りに対して当初は規定を超える飲酒の事実を隠していたが、3日夕に認め、発覚した。航空法では飲酒事案の国交省への報告は発覚日から3日以内としているが、期限を1日過ぎてから報告していた。 JALをめぐっては、2018年と19年に2度、パイロットの飲酒問題で同省が事業改善命令を出している。これとは別に、今回の副機長も18年に飲酒によるアルコール検知事案があったという。今年4月にも、滞在中の米国のホテルで男性機長が酒に酔って騒ぎ警察を呼ばれ、欠航となり、同省から厳重注意を受けていた。 同省は、前回の厳重注意を受けたJALの再発防止策などが「十分に機能しなかった」と指摘し、「安全管理システムが十分に機能していない」として行政指導に踏み切った。JALは1月24日までに再発防止策を同省に報告する。 同社は27日、「お客様の信頼を損ねてしまったことを極めて重く受け止め、全力で再発防止を図る」とコメントした。(増山祐史)
朝日新聞社