半年ぶりのゴールに滲ませた「レイソルの10番」の矜持。柏レイソルU-18・戸田晶斗が“最後の2か月”で期すのは支えてくれたみんなへの恩返し【NEXT TEENS FILE.】
スコアレスで推移していた58分。猪狩鉄太のフィードを左サイドで収めた吉原楓人が、粘り強いキープから丁寧なラストパスを送ると、その軌道の先にエリア内の背番号10が走り込んでくる。
「最初は『トラップして打とう』と思ったんですけど、ボールが来た時にトラップしたら相手に寄せられると思ったので、瞬時に『ダイレクトで打った方が入るかな』と思って、ダイレクトで打ちました」。左足で叩いたボールは、ゆっくりとゴール右スミへ吸い込まれていく。
「『やっと来た!やっと入った!』という感じでした」。そのままピッチサイドへと駆け寄り、飛び出してきたチームメイトたちの中へ飲み込まれた戸田は、その歓喜の輪が解けると、観衆に向かって自分の背中に踊る番号をアピールしてみせる。
「このチームはモハや楓人や(栗栖)汰志がプロに行くので注目されるんですけど、『レイソルには10番の戸田晶斗もいるぞ』って。自分にもその3人も負けない持ち味があるので、いろいろな人に自分の名前も知ってほしいと思います」
ついに果たした“レイソルの10番”の仕事。リーグ戦では実に15試合ぶり、6か月ぶりとなったゴールは、そのままチームを救う決勝点に。試合後にはピッチサイドへあいさつに訪れた選手たちの前に歩み出て、観客の方々へ感謝の言葉を述べながら、『勝利のロレンソ』の音頭を取って、会場全体で喜びを分かち合う。
「今日はみんなからたくさんメッセージが来ると思います。『やっと決めたか』って。みんなが『まだか、まだか』と思っていたはずなので(笑)」。苦しい時間を支え続けてきた人たちにとっても、この日の1点が戸田から贈られる最高のプレゼントになったことは、あえて言うまでもないだろう。
高校卒業後は関東の強豪大学へと進学する予定だが、もちろんプロサッカー選手になる目標を諦めているはずもない。4年間でさらなる成長を、さらなる飛躍を遂げて、必ず誰よりも高い場所まで羽ばたいてやる。そのためにも、まずはこのチームで過ごす最後の2か月に、今持てる自分のすべてを懸ける覚悟は定まっている。
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