2024年夏のボーナスはどうだった?夏休みはどう過ごす?1万4千人アンケートの結果を公開
会社員のみなさんがこの時期気になるものといえば、ボーナス。みなさんの家庭では、今年の夏のボーナス支給額はいかがだったでしょうか。「みんなどれくらいもらっているの?」「何に使っているの?」も気になりますよね。そこで、ニッセイが毎年行う夏のボーナスアンケートの結果をもとに、物価高などで家庭の支出はどうなっているか、夏休みをどう過ごすかも含めて、この夏の「お金の傾向」をレポートします! 【画像で確認】1万人に聞いてみた!夏のボーナスの使い道は? ■ボーナス支給額は増えたけれどぜんぜん満足できない ニッセイ(日本生命保険相互会社)は2024年6月、夏のボーナスに関するインターネットアンケートを実施して、1万4731名から回答を得ました。昨年(2023年)と比較しながら、その結果をご紹介しましょう。なお、回答した人の割合は女性がやや多く、年代別では50代が最多です。 まず、「ボーナスの支給額はいくらでしたか?」と尋ねたところ、平均支給額は約61.5万円で、昨年と比べて約3万円増加していました。各年代でまんべんなく、今年の方が金額が上昇しているなか、40代(とくに女性)は微減で、70代以上は大幅に金額が減少しているのが特徴的です。支給額が増えている年代でも、女性の伸び率は少ないようです。 続いて、「今回のボーナスに満足していますか?」と聞いてみたところ、「満足している」と回答した人が27.3%なのに対して、半数近くの方は「満足していない」と回答しています。ボーナスの支給額が昨年と比較して「増えた」という人は25.4%で、「減った」という人は15.6%なのですが、増えたとはいってもまだまだ満足できる金額ではないようです。 では、もらったボーナスをみなさんはどう使うのでしょうか。「今回のボーナスを貯蓄・資産形成以外で主に何に使いますか?」と、支出に絞って聞いてみたところ、全体の約2割が「生活費の補てん」と回答し、子育て世帯では「教育費の補てん」が3位にランクインしています。ほかには「国内旅行(宿泊あり)」、「買い物(自分の欲しいもの)」などが上位に上がっていました。 ニッセイ基礎研究所 総合政策研究部 チーフエコノミスト 矢嶋康次さんは、次のように話しています。 「2024年の春闘では、賃上げ率が+5. 17 %と前年+3.67 %からさらに上昇し、33年ぶりに 5 %を超えました。ボーナスの平均支給額や、ボーナスが『増えた』と答えた方の増加は、こうした賃上げを反映したものだと考えられます。 ただ、今回のボーナスに対して『あまり満足していない』『全然満足していない』と答えた方も半数近くいらっしゃいます。物価の影響を考慮した実質賃金は、2022年4月から25カ月連続減と、賃上げ効果を十分に実感できていない人も多いのではないでしようか。 今回のボーナスの使い道については、最近の株高や物価上昇、新NISA制度の開始を受けて、貯蓄・資産形成に回すという方も増えていますが、それ以外では、『生活費の補てん』『国内旅行(宿泊あり)』が上位に挙がっています。コロナ禍以降のリベンジ消費がある一方で、生活が厳しくなりつつある実態をうかがわせる内容です。とりわけ、教育費がかさむ子育て世帯の負担が大きくなっているようです」 確かに賃金やボーナスは増えているものの、その結果「生活が楽になった」という実感はまったくありませんよね。デフレを脱却したとしても暮らしは厳しいまま、というのが現状のようです。 ■世帯支出は増加傾向。とくに増えたのはダントツ「食費」! 今度は世帯支出について質問してみました。「昨年と比べて、ひと月当たりの世帯支出に増減はありましたか?」と尋ねたところ、「増えた」と答えた人が全体の49.0%。とくに30~40代では、全体の割合を大きく上回るほど「増えた」という回答の割合が高くなっています。昨年のアンケート結果と比べても「増えた」と回答した方が、 40. 7 %から 49.0 %へと大きく増加しました。 続けて「主にどのような支出が増えましたか?」と聞くと、全体・子育て世帯ともに生活費に関連する項目が上位となり、とりわけ「食費」が半数以上を占める結果となっています。生活に欠かせない食料品が、あらゆる品目で値上がりしている昨今、これは当然の数字と言えるでしょう。 「2022年度以降、物価は日本銀行が『物価安定の目標』として定める前年比上昇率2 %を上回る状況が続いています。昨年と比較した世帯支出は、2022年以降、2年連続して『増えた』と回答した方が増え、家計に物価上昇の影響が出ている様子がうかがえます。 昨年は、食料品を中心に、多くの品目で値上がりが続きました。中華麺、卵、食用油など、私たちの生活に深く結びついた品目で上昇が続き、家計にも大きな影響があったのではないでしようか。実際『食費』は、昨年に比べて『増えた』支出の上位に挙がっています。 また、『光熱・水道費』が増えたとの回答も多くみられます。足元では、政府による激変緩和措置の再開といった話も聞かれますが、今年も『節電の夏』であることに変わりはないでしよう」(矢嶋さん) ■夏休みは「自宅近くでのんびり」派が優勢 最後に、これからやってくる夏休みについて、質問してみました。 「今年の夏季休暇は何をして過ごす予定ですか?」と聞いてみたところ、昨年の過ごし方から大きな変化はなく、「自宅・自宅周辺で過ごす」という人が約半数を占めました。それでも、国内・海外旅行や帰省など、どこかに出かける予定の人も4割ほどいるようです。 でも、お金の面ではけっこうシビア。「今年の夏季休暇の予算は昨年と比べて増やしますか?減らしますか?」と尋ねると、昨年と比べて「増やす」という方よりも「減らす」という方の割合の方が上回っています。 ちなみに、今年と昨年の夏季休暇の予算は下記のとおりです。 「夏季休暇の過ごし方は 2023年から大きな変化はなく、今年も『自宅・自宅周辺で過ごす』と回答した方が約半数を占めました。一方で、外出を計画している方も一定数おり、アフターコロナのリベンジ消費が続いている様子もうかがえます。 ただ、夏季休暇の平均予算額は、 2023年比で1000円増えたものの、昨年に比べて『減らす』と回答した方が『増やす』と回答した方よりも多く、物価上昇でレジャー価格が値上がりする中、消去法的に近場が選択される割合が多いのではないかと思います。『海外旅行』を選択した方も増えてはいますが、長引く円安の影響を考慮した計画となっているのではないでしようか。 今年は、物価上昇がある程度落ち着き、2024年後半には実質賃金がプラスに転じることが予想されます。多くの人が賃金上昇を実感し、消費を増やすことができれば、経済の好循環が回り始めます。好循環は賃上げにより持続性が高まります。今後も賃金の動向には要注目です」(矢嶋さん) 先行きに不安があると財布の紐は固くなるものですが、せっかくの夏休み、物価の動向をにらみつつボーナス上昇分を使って「ちょっぴり贅沢」もいいですよね。この夏はオリンピックも開催されます。お出かけする人も、おうちで過ごす人も、思い出の夏にしたいですね! 文=高梨奈々