“またトラ”で中東どうなる? ~ハマス幹部が私たちに語ったこと【ロンドン子連れ支局長つれづれ日記】
去年10月7日のハマスによる奇襲が発端となり、イスラエルはガザ地区でハマス掃討を目的とした戦闘を続けている。 ――去年10月7日に行ったイスラエルへの攻撃を後悔していないか? 「もし誰かに攻撃されたり嫌がらせを受けたりした場合、自分たちを守ろうとして、それで傷ついたとしても後悔することはないと思います。失敗しても、自分たちを守ろうとしたことに誇りを持つはずです」 ――“イスラエルによる占領”が続く限り、同じことを繰り返すのか? 「もし国際的な視点でこの紛争を、正義と国際法に基づいて解決する意思があるのであれば、それが私たちの望む方法です。それが私たちの選択です。しかし、もしそうでないなら…その通り、私たちは占領に対する抵抗を続ける準備ができています」
――イスラエル軍は「ハマスは最高幹部だったハニヤ氏やシンワル氏を失って弱体化している」と主張しているが? 「ハマスは指導者を失った後も、常にさらに強くなっています。次々と若い人々が出てきて創設者たちと同じ目標を持ち、やる気に満ちて活動しています。ですから、イスラエルが私たちの指導者を暗殺することで一時的に運動を弱体化させることはあっても、長期的にはハマスの進むべき道やその目的を変えることはありません」 さらに、こちらをひたと見据え、強い口調でこう続けた。 「私たちは決して降伏しません。白旗を掲げることはありません。私たちの国家目標である自由、尊厳、独立を達成するその日まで、闘い続けます」
■ガザ住民「子どもたちを第二のハマスにはしたくない」
ガザ地区の住民は今、ハマスに対してどのように考えているのか。難民キャンプで暮らすアフメド・ジューダさん(29歳)にオンラインで話を聞いた。 「ガザ地区の大多数の住民は、去年10月7日の前であろうと後であろうと、ハマスに反対しています。闘う方法や時期について、ハマスが成功したとは思えません。それどころか、17年以上にわたってガザ地区で私たちを支配下に置き、“イスラエルへの抵抗”という口実で私たちの首を絞めようとして失敗したのです」 長男のメヘル君は今回の戦闘が始まる前に生まれました。ジューダさんは「子どもたちを第二のハマスにはしたくない」と語った。 「ガザ地区の大多数は今、どんな犠牲を払ってでも、停戦を望んでいます」「(戦闘開始から)1年2か月以上経った今、ほとんどの人が破壊の影響を受けています。殺されて通りを引きずり回され、子ども、女性、男性、民間人の何万という遺体を目の当たりにし、家も破壊されました。私たちはもう、ハマスの考え方から抜け出したいと思っているんです」 戦闘が起こる前はPRの仕事をしていたジューダさん。建てたばかりの新居で家族3人幸せに暮らしていた。 「戦争を止めるのは人々の責任ではなく、ハマスの責任です。ハマスが戦争を始め、実行したのですから。パレスチナ人のためにどんな方法、どんな犠牲を払ってでも、この戦争を止めなければなりません」