「決勝に行くぞ」石川祐希はなぜ“ギアを上げた”? 心配になるほど吠えた主将が植え付けたかった頂点のイメージ〈男子バレー五輪メダルの序章〉
勝ち進めば「五輪への調整期間が短くなる」
昨年のパリ五輪予選で五輪出場権を手にしていた日本にも選択肢があった。その中でフィリップ・ブラン監督は、4月末までイタリア・セリエAで戦っていた石川と高橋藍(サントリーサンバーズ大阪)を第1週のブラジル大会には帯同させず疲労の回復を優先し、その上でチーム力を高めながら五輪の組み合わせ抽選で有利な世界ランキング5位以上を維持するという目標を立てた(大会開幕時は4位)。 ファイナルラウンドについてはジレンマをのぞかせていた。 「VNLのファイナルラウンドは五輪と似た形式で行われるため、五輪にプラスの影響もあるかもしれない。ただマイナス点は、マニラで予選ラウンド第3週を戦った直後に、ファイナルラウンドが行われるポーランドに移動しなければならず疲労が蓄積されること。五輪までの調整期間も短くなる」(ブラン監督) 日本はメンバーを入れ替えながらもその都度出場した選手たちが活躍し、9勝3敗の4位でファイナルラウンドに進出した。しかも予選ラウンド終了時の世界ランキングは過去最高の2位に。五輪の抽選でトップシードに当たる第1ポットに入るという最高の結果を得た。 ブラン監督が当初掲げていたミッションはクリアしたが、選手たちは目標達成とは思っていなかった。 ファイナルラウンド準々決勝のカナダ戦から見せた石川のギアチェンジは、改めて「ここで終わりじゃないぞ!」「昨年の3位を上回り、決勝に行くぞ!」と意思表示しているかのようだった。 カナダに勝てば、準決勝の相手はどちらかといえば相性のいいスロベニアとアルゼンチンの勝者。決勝進出の大きなチャンスだ。そのチャンスをものにして欲しいという期待と同時に、五輪前の今、そんなに力を出し尽くして大丈夫かと、正直心配にもなった。 だが石川はVNLで本気で頂点を目指していた。もちろんアスリートが勝利を目指すのは本能だが、VNLで決勝に進むことが、最終目標であるパリ五輪のために必要だと捉えていたからだ。
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