16年前の米兵強盗 遺族の敗訴確定も最高裁が防衛局の対応を批判
米兵が起こしたタクシー強盗事件で、けがをした男性運転手の遺族が見舞金や遅延損害金を国が支払わないのは違法だと訴えていた裁判の上告審で、遺族の訴えを退ける判決が最高裁で確定しました。 この事件は、2008年に沖縄市でタクシー運転手の男性が乗客の米海兵隊員2人に瓶で頭を殴られるなどの暴行を受けたものです。 2018年に、那覇地裁沖縄支部は米兵2人に対して遅延損害金を含めた損害賠償金、約2640万円の支払いを命じていました。 1996年のSACO最終報告に基づく見舞金制度では、裁判で確定した賠償額を米側が支払わない場合は、日本政府が肩代わりすることになっていますが、沖縄防衛局が遅延損害金の支給を拒否したため、遺族がその違法性を訴えていました。 この裁判の上告審で最高裁は16日、見舞金受け取りの「受諾書」が遺族から提出されていないため、防衛局が見舞金を支給していないことに違法性はないとして、遺族の訴えを退けました。 判決では、三浦守裁判長が沖縄防衛局長が見舞金を支給しないことは「違法とまでは言い難い」としつつ、受諾書の提出を条件にして見舞金を支給しないことは信義則上の義務に違反し、遺族らの法的利益を害すると防衛局の対応を批判し、制度の問題点を指摘しました。
琉球放送