倒産ラッシュ「3割赤字」のラーメン業界のウラで、巨大外食チェーンによる「個人店駆逐」の勢いが止まらないワケ
100店舗達成した「ずんどう屋」
トリドール傘下の「ずんどう屋」は大阪など関西の既存店が特に好調に推移しており、店舗数は102店舗(2024年12月時点)であり、2024年だけでも21店舗オープンするなど、いま勢いがあるチェーン店だ。 運営は株式会社ZUNDで、2002年、兵庫県姫路市で「ラー麺ずんどう屋」を開業。トリドールが2017年にZUND社を買収し、グループの傘下とした。2024年11月15日には、100店舗達成記念として、国内全店舗で100円引キャンペーンを実施している。 ここまで勢いが出せるのは丸亀製麺を中核ブランドとして成長しているトリドール株式会社の傘下で強力な後押しがあるのも一因だ。そして、商品へのこだわりと快適な店舗雰囲気づくりに力を入れているのなど商品力と販売力を徹底的に強化している点である。 業績は、前々期(2023年3月期)72億円から前期(2024年3月期)は89億円と17億円(+24.3%)伸ばしている。トリドールのセグメントは、(1)丸亀製麺、(2)国内その他事業、(3)海外事業の3本柱の事業構成となっているが、ずんどう屋は国内その他事業の中で、31.3%と最大のシェアを有している。 今期に関しても上半期(2025年4月~9月)は売上は約10億円の増加で好調に推移している。ただし、利益は出店に伴う人件費などが増加して、約2億円の減益となっており、今後の課題とされている。 ずんどう屋のこだわりは何といっても濃厚豚骨スープだ。特注の釜土で水と豚骨だけを使って10時間以上かけて炊き上げている。丁寧に処理した豚の頭、背骨、丸骨を、骨が砕けるまで強火で炊き続けており、クセのない濃厚なシルキー豚骨スープである。 自家製麺も特製の小麦粉を使い、小麦本来の豊かな香りとコシを感じる麺で豚骨スープと相性が抜群。具材にもこだわり、店舗仕込みの半熟味玉と赤身と脂身のバランスが良い厳選した豚肉を使用し特製タレに漬け込んだ自慢のチャーシューは大人気だ。 また、食事の空間も大切にしており、赤と黒の力強さや木の温もり、地元に愛される日本のお祭りのような店内の雰囲気を大切にしているようだ。 【つづきを読む】『神座に横綱も…クセが強すぎる「関西発祥ラーメン」チェーンが、倒産ラッシュのラーメン業界で支持を集める「納得の理由」』
中村 清志(中小企業診断士・中村コンサルタント代表)