近所のマンションの前に「ご自由にお持ちください」と椅子が置いてあった! 勝手に持ち帰っても大丈夫?「罰金」になる場合もあるの?
マンションやアパートの駐車場に椅子などの家具が置いてあり、よく見ると「ご自由にお持ちください」の張り紙が。このような光景を目にしたことはありませんか? また、近所の飲食店が閉業したあと、店の前に「ご自由にお持ちください」の張り紙が貼られたダンボールのなかに大量の食器が並んでいることもあります。このように「ご自由に」と書かれた物を、本当に自由に持っていってもいいのでしょうか? ▼エアコンを「24時間」つけっぱなしだと、電気代はいくらかかる? 1ヶ月の電気代を試算
窃盗罪は所有者の意思に反して自分のものにした場合に成立する
「ご自由にお持ちください」の張り紙が貼られた家具や食器を見ても、まだ十分に使えそうな不用品とは思えない物だと「持ち帰って窃盗になったりしないだろうか」と不安に思うこともあるかもしれません。 刑法で窃盗の定義を調べてみると「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし」との記載があります。 「窃取」とは「こっそりと盗み取ること」という意味です。つまり、他人が占有する財産について、「他人の意思に反して自分の物にした」場合に窃盗罪が成立し、10年以下の懲役か、50万円以下の罰金となります。 「ご自由にお持ちください」という張り紙が貼ってあるということは「持っていっていい(所有権を手放す)」と意思表示されており、自由に持っていっても窃盗の罪に問われることはないでしょう。
個数などの制限があればルールを守る必要がある
「ご自由にお持ちください」と張り紙が貼ってあれば自由に持ち帰っても問題ありませんが、持ち帰る前に「おひとり様1つまで」など個数や量の制限が書かれていないかを確認しましょう。 1人1点のみと明記されているということは、複数個を持ち帰ってしまうと前述の「他人の意思に反している」ことになります。家具や食器の持ち主に被害届を出される可能性もあるでしょう。 実際、「おひとり様1個ご自由にお取りください」と書かれた携帯ショップの販促物を1日1個、合計11個をショップの営業時間外に持ち帰った銀行員がショップ側とトラブルになり、銀行から懲戒解雇された例もあります。 営業時間内に手に取ってもらうことに意味がある販促物を営業時間外に持ち出したことは携帯ショップの意思に反しており、また「1人1個」とは顧客1人がもらえる数量が「1日当たり1個」ではなく「配布期間中1個」という意味という点が問題視されました。 最終的に東京地裁の判決で解雇処分が重すぎるとして無効になりましたが、判決では「窃盗罪に該当しうる」「懲戒処分は避けられない」ともいわれています。