【識者解説】自称「タリフマン(関税男)」のトランプ氏 日本に10~20%の関税は本気かブラフか 移民制限と財政出動で「確実に円安は進む」
歴史的大接戦と言われたアメリカ大統領選でしたが、蓋を開けてみるとトランプ氏の勝利でスピード決着となりました。勝因はいったい何だったんでしょうか。アメリカ情勢に詳しい国際ジャーナリストの小西克哉さんの解説です。
トランプの勝利というよりもカマラ・ハリスの大敗北
――Q.もつれるという予想も多かったが、思いのほかスピード決着となりました。 小西さん:僕ももつれる方に賭けたんだけど外れましたね。これだけ早く決まるというのは、やっぱりトランプの底力をみんな過小評価してたということだと思います。また、「世論調査では小数点の争いだったが、選挙人では差が出た」という人がいるが、これは選挙人制度である限り、そうなるものです。トランプのいわゆる「地滑り的勝利」かというと、そこまで地滑りではない。獲得した選挙人が300を超えると地滑り的と言ってもいいかもしれないけど、これは普通の勝利ですね。トランプの勝利というよりも、カマラ・ハリスの大敗北という感じです。 ――Q.今回、7つの激戦州のうち5つでトランプ氏の勝利が確定していて、残る2つもトランプ氏優勢。やはり激戦州の結果が大きく左右しました。 小西さん:それは事実ですね。ただ、今回の選挙の特徴というのは、民主党の牙城であるニューヨークとかカリフォルニアでも、トランプの票がそれなりに伸びているという点にあります。トランプの票の掘り起こしが力強く、今まで投票したことのないような人たちも投票している。トランプがハリスの牙城にまで食い込んだというところが、2016年の選挙のときとはだいぶ違うと思います。
ハリスは経済の問題に十分に回答できなかった
――Q.CNNの調査では、トランプ氏に投票した人のうち70%は「経済状況は良くない」という回答をしていて、トランプ氏に投票した81%の人が「4年前より家庭の経済状況が悪くなった」と答えている。つまりそれだけ現状に不満を抱えている人が多かったのではないかということです。またBBCの調査では、女性票が前回のバイデン大統領のときは57%あったものが、ハリス氏になって54%に減ってしまった。さらにNBCの調査ですが、ヒスパニック系の票もバイデン氏のとき69%だったものがハリス氏は61%だった。そしてトランプ氏がこのヒスパニック系の票を前回よりも13ポイント増やしたというような調査結果があります。ハリス氏の票がここまで伸び悩んだのはどうしてなんでしょう。 小西さん:大きく言うと、経済の問題がマイノリティの黒人とかヒスパニックの人たちにもやっぱり深刻な問題だった。しかしハリスは十分な回答ができなかった。そこでトランプのメッセージの方が浸透したということが非常に大きいと思います。また、3カ月間の遊説期間というのはあまりにも短かった。予備選挙を戦うことによる準備もできなかった。結果論になるが、根本的には民主党の党の立て直しということが今後、大きな問題になってくると思います。
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